全米OP王者アルカラス 「GS30勝」の声もある記録破りの19歳
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【9月12日 AFP】男子テニスのカルロス・アルカラス(Carlos Alcaraz、スペイン)は、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2022)で衝撃的な優勝を飾り、「四大大会(グランドスラム)30勝」を期待する声もあるキャリアのストーリーに、また一つ記録更新のエピソードを加えた。
11日に行われた男子シングルス決勝で、19歳のアルカラスは6-4、2-6、7-6(7-1)、6-3でキャスパー・ルード(Casper Ruud、ノルウェー)に勝利し、2005年の全仏オープン(French Open)を制したラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)後では最年少のグランドスラム優勝を飾った。また史上最年少で世界ランキング1位になることも確定し、全米では1990年のピート・サンプラス(Pete Sampras)氏以降最年少の王者となった。
スペイン南東部ムルシア(Murcia)州の小さな町に生まれた筋肉質の謙虚なスターは、これまでに多くの記録を残しており、特に2022年はかつてない活躍を見せている。
ツアー通算6勝のうち5勝は今年挙げたもので、全米OP制覇によって、生涯獲得賞金は早くも1000万ドル(約14億円)に迫ろうとしている。7月には世界トップ5入りを果たしたが、これも2005年以降では最年少だった。
5月のマドリード・オープン(Mutua Madrid Open 2022)では立て続けに金星を挙げ、ナダルとノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)にクレーコートの同一大会で勝利した初めての選手になった。しかもそれを2日連続で成し遂げ、最後はタイトルを獲得した。
ナダルのおじで、長年コーチを務めたトニ(Toni Nadal)氏は「カルロスのプレー強度とスピードは、めったにお目にかかれないものだ」と語り、「彼はラファと同じ足跡をたどっている。最後の1球まで絶対に諦めないし、それだけの性格的な強さがある」と評価した。
現在36歳のナダルも、同じ19歳でグランドスラム初優勝を飾り、そこから最多22勝を積み上げた。それでもナダルは、大胆な比較をして10代の若者に重圧をかけることがないよう、ファンに呼びかけている。
「19歳の頃の自分がどんなだったかは忘れたよ。僕らにできるのは、カルロスのような飛び抜けた選手のキャリアを楽しむことだけだ。もしグランドスラム25勝を挙げるなら、それは彼と僕らの国にとって夢のような出来事だ。とはいえ彼には、自分のキャリアを楽しませてあげたい」
ナダルは消極的だが、比較は避けられない。ツアー通算92勝のナダルが、2004年に18歳で初勝利を挙げたのと同様、アルカラスも昨年18歳で1勝目を手にした。どちらも私生活は固く明かさないようにしており、熱心なファンがいて、堅い守備を軸にスリリングで派手な攻撃が特徴のテニスをする。
マドリード・オープン優勝後、アルカラスは「自分がとても負けず嫌いな子どもなのは自覚している。ゴルフでもペタンクでも、勝負事はなんでも戦う。負けるのが嫌いなんだ」と話していた。
コーチのファン・カルロス・フェレーロ(Juan Carlos Ferrero)氏は、2003年の全仏オープンを制し、その年の全米オープン終了後に世界1位に立った。アルカラスが15歳の頃から指導しているフェレーロ氏は、スペインのラジオ番組で「カルロスがグランドスラム30勝を挙げたらとてもうれしい。そのチャンスは十分にある」と語り、教え子の今後のキャリアについて「彼の自由にさせ、プレーさせてやろう」と話している。(c)AFP/Dave JAMES