【3月15日 東方新報】近年、中国ブランドが海外市場で模倣品被害に遭うケースが増えている。3月10日、タイの法律事務所の発表によると、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー、Luckin coffee)がタイで提起した「偽ラッキン」に対する商標権侵害訴訟において、裁判所はラッキンコーヒー側の勝訴判決を下した。

 公開された判決によれば、裁判所はラッキンコーヒーが問題となった商標に対して「先に取得し、かつ優れた権利」を持つと認定し、被告に対して登録済みのラッキンコーヒー関連商標の取り下げと、今後の使用禁止を命じた。さらに被告は、ラッキンに対して損害賠償金として一括で1000万バーツ(約4372万1000円)を支払うとともに、2024年3月4日の提訴日以降、1日あたり10万バーツ(約43万7210円)の継続的な賠償金を支払うよう命じられた。現時点での累計賠償額は4600万バーツ(約2億111万円)を超えている。また、被告は訴訟費用の一部も負担する。

 タイにおける「偽ラッキン」は以前から存在していた。2022年初め、中国人観光客がタイ旅行中に「ラッキンコーヒーの店舗」を発見したが、同年8月、ラッキンコーヒー側は「タイに正式店舗は存在しない」と声明を出し、その店舗は模倣店であると指摘。法的措置によって権利保護に乗り出すと表明していた。タイの偽ラッキンは、ロゴの字体・色彩・シンボルマークの鹿の頭に至るまで模倣しており、唯一異なるのは鹿の向きが右から左に変えられていた点と、「luckin coffee」の下にタイ語が追加されていた点だった。

 東南アジア市場では、こうした「模倣登録」や「ラベル商標の先取り」が常態化しており、ラッキンコーヒーに限らず多くの中国企業がタイで同様の被害に遭っている。この訴訟の被告企業も、実際には複数の中国ブランドを模倣しており、順豊速運(SFエクスプレス、SF Express)、周生生(ChowSangSang)、周大福(Chow Tai Fook)、奈雪(Naixue)、農夫山泉(Nongfu Spring)なども被害対象となっている。

 これらの事例は、中国企業が海外展開する際には、まず知的財産権の保護を最優先にすべきだという教訓を示している。商標の事前調査・登録は市場進出よりも前に行うことが重要だ。

 福建省(Fujian)政治協商会議常務委員で、中国国民党革命委員会福建省委員会主任の夏先鵬(Xia Xianpeng)氏は、海外展開する企業に対し、進出先国の知的財産権関連法規や司法・行政の執行環境を十分に研究し、現地の知財制度を投資・事業運営判断の重要な要素として検討すべきだと提言している。(c)東方新報/AFPBB News