【2月18日 東方新報】最近、コーヒー豆の価格が急上昇し、業界内で大きな話題となっている。SNSでは「気軽にコーヒーを楽しめなくなるのでは」と懸念する声も増えている。

 ブラジルなど主要生産国の減産により、国際的なコーヒー先物価格が大幅に上昇している。2024年以降、インターコンチネンタル取引所(ICE)先物価格は1.1倍以上値上がりし、金の価格上昇をも上回る勢いとなった。

 この影響を受け、一部のブランドはすでに価格改定を発表している。2024年11月には、日本の味の素AGF(AJINOMOTO)が2025年3月から一部商品の価格を15〜30%引き上げると発表。円安や原材料価格の上昇が主な理由とされる。また、一部のブラジルやイタリアのコーヒーメーカーなども2025年初頭に価格を調整した。

 小売価格だけでなく、カフェチェーンの現場でも値上げの可能性が懸念されている。スイス金融大手UBSの調査によれば、中国のカフェ業界では、豆の価格高騰がプロモーション戦略や価格設定に影響を与え、各社が競争力を維持するために値上げに踏み切る可能性があるという。

 ただし、すべてのブランドがすぐに値上げに動くわけではない。庫迪珈琲(Cotti Coffee)の戦略責任者は「コーヒー豆のコストは全体の一部であり、価格に大きな影響を与えるわけではない。大口契約や先物取引でリスク分散しているため、当面の間は9.9元(約206円)の価格を維持する」と説明した。カナダ発のティム・ホートンズ(Tim Hortons)の中国法人、Tims天好中国やM Standも「現時点での値上げ計画はない」としている。

 一方で、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー、Luckin coffee)や幸運咖(Lucky Cup)については、値上げの可能性について明確な回答が得られていない。また、韓国のスターバックス(Starbucs)は2025年初めに価格を引き上げたが、中国市場についての動向は不明である。

 コーヒー1杯の価格に占める豆の原価は約4%とされ、店舗の賃料や人件費のほうがより大きなコスト要因となっている。そのため、豆の価格上昇がすぐに消費者価格へ反映されるとは限らない。

 ただし、コスト負担の大きい中小規模のカフェチェーンにとっては、値上げを余儀なくされる可能性が高い。UBSのレポートでは「コーヒー豆の価格高騰が業界の再編を加速させる可能性がある」と指摘している。

 また、企業によっては、値上げではなくマーケティング戦略の見直しやプロモーションの縮小といった方法でコストを吸収する可能性もある。市場の動向や消費者の受容度を見極めながら、各ブランドが慎重に価格戦略を決定していくことになりそうだ。(c)東方新報/AFPBB News