ハマス、空爆への報復で人質殺害を警告
このニュースをシェア
【10月10日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は9日、イスラエル側がガザ市民を「標的に」警告なしの空爆を続けるなら人質を殺害すると警告した。ハマスは週末のイスラエル急襲で約150人を拉致した。
ハマスは同日、イスラエルの空爆で人質4人が死亡したと発表。その後刻、軍事部門イザディン・アルカッサム(Ezzedine al-Qassam Brigades、カッサム旅団)が声明を発表し、「警告なしに(ガザ)市民を攻撃するたびに、人質の民間人を殺害する」とした。
一方のイスラエルは、ガザ地区を完全包囲し、食料や水、電力の供給を遮断した。地区内の人道的状況がさらに悪化する懸念が出ている。
ガザ地区包囲の発表について国連のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は「ひどく動揺している」とし、ガザの人道的に危機的な状況が「急激に悪化の一途をたどる」ことになると警鐘を鳴らした。
イスラエル当局によると、ハマスに拉致された人質約150人には、子どもやホロコースト(Holocaust)を生き抜いた車いすの高齢者も含まれている。また、拉致もしくは行方不明になっている人の国籍は、タイ、ドイツ、アルゼンチン、フランス、米国、または二重国籍と多岐にわたる。
これまで、イスラエル側で確認された死者は約900人。イスラエルの報復攻撃によるガザ地区の死者は687人に上っている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は9日夜のテレビ演説で、ハマスに対して「無類の武力」を用いて「大規模」攻撃を行う予定だと述べた。
イスラエルは予備役30万人を招集したと発表しており、またハマス戦闘員の排除を目的に装甲車を南部に投入した。
一方のハマスは西岸(West Bank)やアラブ諸国、イスラム教国にいる「抵抗勢力」に、今回の大規模攻撃「アクサの洪水作戦」に参加するよう呼び掛けている。
激しい軍事衝突を受け、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、ガザ地区各地の学校に13万7000人以上を避難させた。(c)AFP/Jay Deshmukh with Adel Zaanoun in Gaza City