【9月7日 People’s Daily】スマートフォンをつければすぐ土壌中の水分量や肥料の濃度が分かり、QRコードを読み取れば農産物生産の全過程が追跡できる。浙江省(Zhejiang)ではデジタル技術と農村の生産生活が各方面で融合している。今年の初め、「浙江省デジタル農村建設実施案」が発表された。

 陶開泉(Tao Kaiquan)さんは浙江省台州市(Taizhou)で農業を営む、経験豊富な地元農家だ。1960年代生まれの彼はスマホを使いこなし、畑にいてもスマホを手放さない。

 ミカンの栽培棚を見回る途中、彼はスマホに目を落とすや「水が足りないってシステムが言ってる、水をやってくれ!」と作業員に声をかけた。

 ミカン畑の作業員はすぐミカンに水をやり始めた。「今システムが出したアラームは、土壌の水分量が50%を切っているというものでした」と、作業を終えた陶開泉さんは記者に説明してくれた。彼のスマホには「スマート果樹園ネットワーク」というアプリが入っている。栽培棚の土の中に埋めた20台のセンサーで温度や湿度、日照量などのデータをリアルタイム観測する。陶さんはスマホに集められた情報を見て判断し、すぐ生産管理をすることができる。

「以前は経験に頼っていましたが、今はデータに基づいているのです」と、陶さんは言う。水や肥料の量、温度や湿度、日照量の調節など、以前は経験と勘だけが頼りであった。「今は水と肥料が一体化したスマート点滴かんがいシステムや、栽培棚に設置されたセンサーとソフトの分析がありますから、栽培が簡単になりました」

 台州市の黄岩区(Huangyan)にあるマコモ畑も収穫の時期を迎えている。地元のマコモ栽培組合の責任者である蒋良珍(Jiang Liangzhen)さんはマコモの収穫を終えたばかりで、今日の収穫情報をスマホに入力するのに忙しい。

 農業の達人であるだけでなく、蒋さんはマコモの「データ管理者」でもある。農家向けのアプリを開き、種まきから収穫までの毎日の水やり、耕作、施肥などの作業内容を蒋さんは全て記録している。

 組合の社外では忙しく梱包(こんぽう)や発送作業が行われており、全てのマコモの箱には合格証QRコードが貼られている。「このQRコードこそ、マコモの『身分証明書』であり、市場への通行証なのです」と、蒋良珍さんは説明しながら、スマホでQRコードを読み取って見せてくれた。生育環境や収穫日、検査結果など、マコモの成長記録が一目瞭然である。

 データはリアルタイムで更新され、トレーサビリティーが徹底されている。黄岩区の農業農村局責任者によれば、黄岩区ではデータベースをつくっており、一定以上の規模の農家は農産物の包装に合格証を貼るよう求めている。各生産者はアプリを通じて農作物の生産過程情報を常に記録していき、システムが自動でデータと画像を集積する。(c)People’s Daily/AFPBB News