【4月28日 CNS】近年、チワン族の衣装はその鮮やかな色合いとファッショナブルなデザインで人気を博している。最近終了した広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)の伝統的祝日「三月三(旧暦の3月3日)」では、民族衣装を身にまとった人びとがこの伝統的な祭りを共に祝った。

「95後(1995年〜1999年生まれ)」の広西の女性、李夢(Li Meng)さんは、以前は祝日やパフォーマンス用の衣装として着ることが多かったが、今ではチワン族の衣装が日常的なファッションとして徐々に受け入れられていると述べている。 

 民族文化の重要な一部であるチワン族の衣装は、千年以上にわたって受け継がれてきた。南寧市(Nanning)武鳴区(Wuming)はチワン族の発祥の地の一つで、チワン族文化は長い歴史を誇っている。この地域のチワン族の人びとは紺色の服を好んで着ており、衣装には濃紺、薄紺、白と紺色の組み合わせがあり、女性の服はレースの装飾が施され、華やかで美しいものとなっている。

 武鳴のチワン族の衣装制作技術の代表的な継承者、陸蘭珍(Lu Lanzhen)さんは、幼少期から祖母から刺繍を学び、鮮やかな色の刺繍技術を身につけた。 

 しかし、工業化された刺繍の台頭につれ、手づくりの刺繍は衰退し、多くの人びとが刺繍をしなくなり、伝統技術が失われつつある。「祖母は亡くなる前に、私たちの民族の衣装を次世代に伝えるように私に言い残しました。私が続けなければ、この技術は失われてしまう」と、彼女は述べている。 

 陸さんは、2011年に60歳を超えた時、二人の従妹を集めて再び刺繍針を手に取った。家族と当時の武鳴県(現在の武鳴区)文化館の周英挙(Zhou Yingju)館長の支援を受け、2013年に納福刺繡工房を設立した。 

 最初は3人だったこの工房は、今では48人にまで成長した。陸さんは、チワン族の衣装と刺繍技術を伝承するため、年に4-5回の研修クラスを開催しており、1クラスには約50-60人の受講者がいる。「1クラスの三分の二は若者で、今では受講者の若年化だけでなく、私たちの改良により、チワン族の服を着る若者も増えてきています」と、彼女は述べている。

 陸さんは、チワン族の衣装の伝承という道で、すでに半世紀以上その使命を果たしてきた。 

 より多くの人びとにチワン族の衣装を好きになってもらうために、陸さんは伝統的な衣装を何度も改良してきた。彼女は大胆な試みを行い、鮮やかな生地を用い、民族的な要素とファッショナブルなデザインを組み合わせ、チワン族の衣装を「美しく」「流行らせる」ことに成功した。 

 民族衣装を日常のファッションとするトレンドは、今や中国国内だけでなく、海外にも広がっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News