【4月27日 AFP】アイルランド各地の海岸で見かけることができる移動式サウナ。新型コロナウイルスの流行後、同国で人気を集めている施設だ。

 常連客のシャロン・フィジョンさん(52)にとって、海辺に設置されたサウナを週末に訪問することが「健康的なマイブーム」だという。熱いサウナと冷たい海を行き来することで「信じられないくらい元気になる」と話す。

「サウナ無しで海に入っても、心地良く感じられない。サウナがあれば、少し長く海にも入れるし、首まで海水の中に入っていると、海から本来得られる全ての恩恵を感じられる」

 アイルランドではコロナ禍のロックダウン(都市封鎖)期間中の癒やしとして、海水浴が人気になった。海辺に設置されるサウナはその「おまけ」として登場したと、サウナ運営者の一人は説明する。

「この市場は成長していて、着実に拡大しているし、認知度も広がっている。この体験を楽しんだ人々はリピーターになる」と運営者はサウナの一つに火を入れながら話した。

 また、この海辺のサウナは、アイルランドの荒々しく、しばしば雨が降って肌寒い気候の中で、居心地の良い隠れ家のような存在にもなっているという。

 海辺のサウナを経営するオーナーらによると、このトレンドは、1600年代から20世紀初頭まで続いたアイルランドの古いサウナ文化「スウェットハウス(Sweathouse)」を思い起こさせるという。

「スウェットハウス」は石造りのドーム状の建造物で、アイルランドの田園地帯にはその史跡が点在している。風邪をひいた時や熱が出た時、関節の痛みがある時などに、人々はこの建物の中で火をたいて汗を流したとされている。

 海辺のサウナに通うフィジョンさんは「アイルランドの古い伝統だし、それを体験できるのは本当に素晴らしい。私にとって大切なことだ」と話していた。

 映像は4日撮影。(c)AFP