【12月24日 AFP】ロシアの科学者グループは、ロシア連邦保安局(FSB)のアレクサンドル・ボルトニコフ(Alexander Bortnikov)長官が旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)が行った大粛清を正当化しようとしているとして警鐘を鳴らした。

 ロシア紙コメルサント(Kommersant)に公開書簡を掲載した科学者30人以上のグループは、ボルトニコフFSB長官が「恐怖政治」と呼ばれたスターリンの大粛清を合法化しようと試みていると批判した。歴史家はスターリンによる大粛清により、1930年代にはおよそ100万人、スターリンが死去する1953年までの約30年間で2000万人が死亡したと推定している。

 FSBの前身であるソ連国家保安委員会(KGB)出身のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)氏が最初に大統領に就任した2000年以降、ロシア当局はスターリンが果たした役割も含め旧ソ連について肯定的な見方を広めようとしてきた。しかしボルトニコフ長官の一連の発言はその方向性をさらに一歩進めるものだとみられている。

 同長官は今週発行された政府系日刊紙ロシスカヤ・ガゼータ(Rossiiskaya Gazeta)のインタビューで、スターリン時代の犯罪事件の大半には「客観的な面」があると述べ、いずれかの人物の汚名をそそぐつもりはないとしつつ、「クーデター計画者と外国の治安機関との結びつき」について言及した。

 このインタビューは、ボリシェビキ(Bolshevik)支配への反対勢力を一掃するために設置された旧ソ連初の秘密警察、非常委員会(チェーカ)の創設100年を記念して行われた。

 プーチン氏は来年3月に行われる大統領選の立候補を表明している。当選すれば2024年まで大統領を務めることになり、スターリン以降で在任期間が最も長いロシアの指導者となる。