キム・ギドク監督を暴行罪で告訴した女優が会見 韓国のタブーと闘う
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【12月18日 AFP】数々の映画賞を受賞している韓国の映画監督キム・ギドク(Kim Ki-Duk)氏(56)が撮影中に女優に暴行した疑いで刑事告訴された件について、被害に遭った女優本人がこのほど会見を開き、白いついたて越しに当時の様子を涙ながらに訴えた。事件が公になることを恥じて泣き寝入りする人が多い保守的な同国で、被害者がこうした告発をするのはまれ。
キム氏は、韓国の最も著名な映画監督の一人。受賞作品には、ベネチア国際映画祭(Venice Film Festival)のコンペティション部門最高賞「金獅子賞(Golden Lion)」を受賞した『嘆きのピエタ(Pieta)』や、ベルリン国際映画祭(Berlin International Film Festival)の最優秀監督賞「銀熊賞(Silver Bear)」を受賞した『サマリア(Samaritan Girl)』などがある。
しかしこの女優によると、近親相姦をテーマにした2013年の作品『メビウス(Moebius)』の撮影によって「深い心の傷」を負わされたという。
女性は、撮影中にキム氏から殴られ、台本になかった性行為のシーンやヌードを強要されるなど身体的・性的虐待を受けたと訴えている。女性は最終的に降板し、別の女優が代役を務めた。
女性は先週、韓国・ソウルで開いた記者会見で、「毎日、死ぬほど怖かった。監督に意見すればまた殴られるのではないかと思い、とても恐ろしかった」と告白。
女性は名誉を傷つけられることを恐れ、氏名や素顔を公表せずに会見に臨んだ。韓国では、ハイテク化が進む一方で男性優位の価値観が根強く、女性の貞節や従順さがいまだに求められる風潮がある。
多額の収益を上げている韓国のエンターテインメント業界でこうした告発がなされることはまれだが、今回の会見は、ソーシャルメディアでハッシュタグ「#MeToo(私も)」を使って世界中のさまざまな業界におけるセクハラや暴行が次々と明るみに出る中で行われた。映画業界では、米ハリウッド(Hollywood)の大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)氏や米俳優ケヴィン・スペイシー(Kevin Spacey)氏らも告発されている。