米メキシコ国境の壁建設、地域の生態系にも影響
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■「近親交配が進む」
メキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)エコロジカル・インスティテュートのジェラルド・セバロス(Gerardo Ceballos)氏は、米国側に生息しているジャガーの頭数はわずか5頭程度と推測しており、繁殖のためにはメキシコ側からの交配相手が必要だと指摘する。
動物の個体群が二分されると、双方はグループ内の限られた相手としか交配できなくなり、種の健全さを保つことが難しくなる。この状況について地域の自然資源専門家は「近親交配が進む」と懸念をあらわにしている。
■人への影響
国境の壁は、動物だけでなく、砂漠全体の生態系に影響を与える可能性があると専門家らは口をそろえる。
砂漠に生息するほ乳類が地面を踏み荒すことで、雨水が地下に浸透することができ、また動物たちが植物を食べることで、その種子が広範囲に運ばれる。これらは、影響を受けるであろうほんの一部分にすぎない。
しかし、壁の建設によって生じる土壌や環境への影響をすべて把握することは難しく、人への影響ももちろん懸念される。
セバロス氏は、「壁をつくれば、すべてを破壊することになる」とこの状況に警鐘を鳴らした。(c)AFP/Yemeli ORTEGA