「放射能がうつる」「福島に帰れば」 原発避難者が耐えるいじめ
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■「帰ればいいじゃん」
日本は秩序だった社会と行儀の良さで有名な国だ。しかしそれはうわべで、その後ろには窒息するような集団意識があり、そこからはみ出る者へのいじめにつながる。子どもも大人も自殺率が高いのは、いじめが一因だと非難されている。
死者・行方不明者が1万8500人に上った震災直後、この戦後最大の危機を乗り越えようという連帯感が日本全国に広がり、多くの自治体が避難者を受け入れた。団結してまとまろうとする合言葉が「がんばろう、日本」だった。だが、現場レベルでの避難者への対応は往々にして冷たかった。
青山麗(Urara Aoyama)さん(16)は新しい学校の同級生らに、自分が福島原発周辺の町から避難してきたことを知られないよう必死だったという。だが「中学校に入ってから…それがばれちゃったというか、広まってしまって」と青山さん。彼女は現在、福島県浜通りに戻り、関根さんと一緒に広野町の高校に通っている。2人とも元は広野町の近くに暮らしていたが、その地区は今も立ち入り禁止区域のままだ。
青山さんもまた、同級生らに「放射能がうつる」などとからかわれ、福島の家に「帰ればいいじゃん」と言われたという。「陰でぐちぐち言われていて、たまにわざと聞こえるように言われた」