汚染物質、水深11キロの海溝最深部で検出 海洋研究
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■広範囲の生態系にとっての意味合いは?
「地球の最果てにある最も近づき難い生息環境の一つで、これほど桁外れに高濃度の汚染物質が発見されたという事実は、人類が地球に対して長期にわたって計り知れない影響を及ぼしていることを、実に痛烈に示している」と、ジェイミーソン氏は述べた。
さらに研究チームは、環境中に長期間残留するもう一つの汚染物質、PBDE(ポリ臭素化ジフェニルエーテル)の痕跡を、アンフィポッドの体内で発見した。PBDEは難燃剤に使われている。
「PCBとPBDEは、マリアナとケルマディック両海溝のあらゆる水深に生息する、全ての種にわたるサンプル全部に存在していた」と、研究チームは論文に記している。
世界最深のマリアナ海溝では、サンプルで検出されたPCBの最高濃度が、中国で最も水質汚染が深刻な河川の一つである遼河(Liaohe River)から水を引く水田のカニで検出される濃度より50倍高かった。
研究チームは、汚染物質が「世界の海洋全体にわたって、海の最深部にまで」広がっているに違いないと推察している。
アンフィポッドを餌とする動物や、食物連鎖のさらに上位の動物などの「より広範囲の生態系にとって、これが何を意味するのかということは、まだ明らかになっていない」と、ジェイミーソン氏は声明で指摘した。(c)AFP/Mariëtte Le Roux