【2月14日 AFP】世界最深の海に生息する小型の甲殻類から、使用禁止の化学物質による汚染が検出されたとの研究結果が13日、発表された。人為的な環境汚染が地球の最果てにまで及んでいることを示す初の証拠だという。

「海の掃除人」と呼ばれるこれらの甲殻類は、水深11キロ近くでさえ、冷却剤や絶縁流体などに使われる化学物質による「桁外れの」レベルの汚染から逃れることはできないと、研究チームは述べている。

 米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に掲載された論文によると、汚染物質は海底に沈んだプラスチック廃棄物や動物の死骸などに由来する可能性が高いという。

 論文の共同執筆者で、英ニューカッスル大学(Newcastle University)のアラン・ジェイミーソン(Alan Jamieson)氏は「深海は世界の辺境にある原始のままの領域で、人為的な影響を受けないと今なお考えられているが、これは不幸にも、真実とまるでかけ離れていることを、今回の研究は示している」と語った。

 ジェイミーソン氏と研究チームは、太平洋のマリアナ海溝(Mariana Trench)とケルマディック海溝(Kermadec Trench)から「アンフィポッド」と呼ばれる端脚類(たんきゃくるい)の海底生物を収集するために、特別製の潜水艇を使用した。

 エビに似た腐肉食性のアンフィポッドを捕獲するために、サバの身を餌にしたわなを使用した研究チームは、捕獲したアンフィポッドにみられる化学物質の痕跡を分析した。

 分析の結果、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む高濃度の汚染物質が蓄積されていることが判明した。PCBは、がんやホルモンの混乱を引き起こすため、40年近く前に使用禁止となった。