■ドイツの歴史に学ぶ戦渦からの復興

 プロイセン文化財団のヘルマン・パーツィンガー(Hermann Parzinger)理事長は「合流点」を意味するこの「ムルタカ(Multaka)」プロジェクトに、アラブ・イスラム美術コレクションが盛り込まれている点について「祖国を失い、見知らぬ土地に身を置く人々にとってとりわけ重要だ」と強調した。またキリスト教美術が含まれている点は、新しくドイツへやって来た人々に「彼らが今、暮らしていて理解する必要がある社会」を見せる意味合いがあるとも言う。

 さらにドイツ歴史博物館が加わっていることは「20世紀の完全なる荒廃、にもかかわらず成し遂げられた復興──これこそが、人々が勇気を持ち、未来に自信を持つためのビジョンになる」と理事長は述べた。

 それは、かつてシリアで美術館ガイドとして働き、今はベルリンで案内をしているバッシャール・モハマド・シャヒンさんが、ツアーに参加した同胞らに伝えたいメッセージでもある。

「第1次世界大戦、第2次世界大戦中にここで何百万人もの人々が殺され、たくさんの破壊があった。それでもドイツは、民主主義や技術力、経済における大国になった。だから私たちは学ばなければならない。いつの日か祖国に戻った時に同じことをしなければならない。祖国を再建しなくてはならないんだ」 (c)AFP/Hui Min NEO