■難民による難民のためのアラビア語ツアー

 難民受け入れ策の一環であるこのユニークな企画は、ベルリンにある国立美術館を管理するプロイセン文化財団(Prussian Cultural Heritage Foundation)が運営する複数の美術・博物館が発案した。サビーフさんはじめ19人が選ばれ、同胞の難民たちに紹介する絵画や美術品に関する講義を受けた。

 毎週水曜日と土曜日、この企画に参画しているイスラム美術館や中近東美術館、彫刻コレクション、ビザンチン美術館、さらにドイツ歴史博物館のうち1か所のツアーが行われている。

 昨年12月以来、難民3000人がツアーに参加し、自分たちの文化に属する芸術遺産を堪能したり、ドイツの激動の歴史を学んだりした。ツアーは大人気を博したため、主催側はプログラムを拡大して「ベルリン市民も参加する異文化ワークショップ」の追加も検討している。

 昨年1年間だけで110万人を超える難民申請希望者を受け入れたドイツは現在、難民支援を緊急救済措置から、社会の中へ統合していく取り組みに転換しつつある。これには主要な文化機関も一役買っている。例えばベルリンに複数ある世界的に有名なオーケストラは今年、難民やボランティア向けの特別コンサートを開催した。