■2つの症候群

 研究ではまた、双子のデータの分析から、成人期ADHDが、小児期ADHDに比べて遺伝的要因の可能性が低いことと、発症率が男女でほぼ等しいことも分かった。一般的に、小児期ADHDは、男児の方が発症率がはるかに高い。

 さらに、英国の研究チームは「遅発型のADHD患者は、不安神経症やうつ病、マリフアナやアルコールの依存症などの罹患(りかん)率が高いことが、今回の調査で明らかになった」と付け加えている。

 ブラジルの研究チームが1993年に開始した5000人以上を対象とする追跡調査では、子どもの時にADHDと診断された成人の患者の割合は12%で、また成人しても引き続き障害が見られた子どものADHD患者は17%と、ともに非常に少数であることが分かった。

 この結果は「発症経路が明確に異なる2つの症候群の存在」を示唆していると研究は指摘。また、遅発型のADHDと診断された患者では「重度の症状、機能障害や他の精神疾患」を示していたことにも触れた。

 成人期ADHDの原因の解明、さらには小児期ADHDとは別の疾患であるとの判定には、より多くの研究が必要となる。(c)AFP/Kerry SHERIDAN