■集団いじめのよう

 英国人を父親にもつベッキーさんは、テレビやCMのレギュラーを何本も抱える人気者だったが、週刊誌が報じた不倫騒動により活動休止に追い込まれた。

 日本の芸能界では、女性タレントが男性ファンにとって「手に入らない」存在になった瞬間から、手のひらを返したように冷遇の対象となることは珍しくない。

 女性アイドルグループAKB48の峯岸みなみ(Minami Minegishi)さんも2013年、恋人の家から出てくるところを写真に撮られ、その後「丸刈り」となって反省の意を示している。

 これらの事象から、日本の社会が女性に厳しいのではとの質問を投げかけてみたところ、酒井さんは「女性だからこそ厳しいというのはあるかもしれませんが…」と話し始めたが、「女性に対してというか、何か失敗した人をとことんジャッジする」と感じることはあると続けた。

 そして「あること、ないことまでほじくり返すというか、そういう風潮を感じることはある。一種の集団いじめのような。一人の子が何か失敗してしまった際、ばあっと感染していくように…孤立させ、その子が本当にぼろぼろになるまで」と付け加えた。

 事実、メディアの辛らつな批評はベッキーさんのキャリアに大きなダメージを与えた。

 心理学者の晴香葉子(Yoko Haruka)さんは、ベッキーさんについて、「ラインの『友達で押し通すつもり』といった言葉から、うそつきで、視聴者を小ばかにしていることが露見し、すっかり嫌われてしまった」と分析。また「これまでだまされていた、ベッキーの化けの皮がはがれたと多くの人が思った」と指摘している。

 不倫相手とされた男性ミュージシャンに対しての風当たりは、ベッキーさんのそれとはどこか違う。

 しかし、酒井さんは、日本における男女平等の問題は少しずつ良くなってきていると感じているという。

「いい家庭って、奥さんが強いじゃないですか。日本を大きな家族として考えると、女性が強くなって、ある程度男性のかじを取るくらいになったら、もしかしたら、(この国は)もっとよくなるかもしれません」

(c)AFP/Alastair HIMMER