■ビンテージアイテムをランウェイに

 スナイダー氏は、日本で一躍成功を収めるデザイナーの候補としては「らしからぬ存在」だった。しかし、クラッシックなアメリカンスタイルへの愛着心が古くから醸成されてきたがゆえに、今日の日本ファッション界で高い地位を築くことができた。彼は、わずか2年で日本国内に3店舗をオープンさせている。

「ヴィズヴィム(Visvim)」や「ミハラヤスヒロ(Miharayasuhiro)」といった日本生まれのブランドも、手作業のパッチワークやプリーツビブ、繊細なフリンジといった特徴あるデニムやチェックのデザインを生み出している。

 これら日本ブランドによるデニムを高級衣料のレベルにまで引き上げる努力は報われ、米バーニーズ・ニューヨーク(Barneys New York)や英ロンドン(London)のブラウンズ(Browns)といった有名百貨店でもそれらコレクションの取り扱いがある。

 主にアメリカンビンテージアイテムの買い付け目的で、過去20年の間に何度も日本を訪れているスナイダー氏。日本ではインスピレーションの獲得もさることながら、販路拡大の機会にも恵まれてきた。

 19日に東京ファッションウイークのオープニングを飾ったスナイダー氏は、ショーの後でAFPのインタビューに応じ、「(日本の職人は)手作業による物作りに強いこだわりを持っており、会うたびに毎回感動を覚える。それは、作業そのものに払われる敬意を目の当たりにするからだ」と語った。

 19日のショーでは、自分がデザインした服に加え、絵の具が飛び散ったパンツや、泥で汚れたようなショートパンツなどのビンテージアイテムも取り入れたスナイダー氏。「ニューヨークでのショーでは、ビンテージ(アイテム)は使わない。あっちでは喜ばれないと思う。ここ(日本)の人たちは本物を心から大事にしているから…次に流行する目新しさばかりを追い掛けるのではなく、物の由来やその背景にある物語に価値を見出したいと思った」とコメントしている。(c)AFP/Ammu KANNAMPILLY