【3月22日 AFP】泥だらけの田舎のあぜ道を歩いていた少女は今、トップデザイナーのためにファッションショーの舞台を闊歩(かっぽ)するモデルとして活躍しつつ、ミス・ユニバース(Miss Universe)世界大会への出場を目指している。

 ジャニセル・ルビーナ(Janicel Lubina)さん(19)は、フィリピンの首都マニラ(Manila)にある美人コンテスト出場者の養成所「カガンダハン・フロレス(Kagandahang Flores)」で特訓を受ける注目の新人だ。「花の美しさ」を意味する名が冠せられたこの養成所では、やせっぽちで内気な農村出身の少女たちが、15センチのハイヒールを履いて世界平和を訴えるバービー人形のような美女に変身していく。

 フィリピンの女性たちの間で美人コンテストの人気は非常に高い。豪華な暮らしやファッション業界での成功、映画スターへの道を夢見て、多くの女性がコンテストに挑戦する。

「私の母はメイドでした。一生メイドをしながら田舎で暮らすなんて、私には考えられない」。2015年の「ビニビニ・フィリピーナ(Binibining Pilipinas)」(ミス・フィリピン)コンテストのオーディションを控えたルビーナさんは、AFPの取材にそう語った。

■アヒル歩きで世界へ

 ルビーナさんはカガンダハン・フロレス養成所で、ステージ映えのする「アヒル歩き」を習得した。アヒルのようにお尻を左右に振る歩き方で、この養成所の生徒はこれを徹底的に仕込まれる。

 アヒル歩きの考案者で養成所代表のロビン・ギルバート・フロレス(Rodin Gilbert Flores)氏は、科学者並みの精密さで指導に当たる。科学技術者の資格を持ち、ガラス製造大手からエンターテインメント業界に転身した変わり種だ。

「重要なのは筋肉の記憶だ。これが手の動きに反映される」とフロレス氏。「少女たちはアヒル歩きに苦痛を感じるだろうが、最後には道行く人を振り向かせるような女性になる」

 2013年の「ミス・インターナショナル(Miss International)」に選ばれたベア・ローズ・サンチャゴ(Bea Rose Santiago)さんや、2014年「ミス・アース(Miss Earth)」に輝いたジャミー・ヘレル(Jamie Herrell)さんら、フィリピンを代表する美女たちもフロレス氏の指導を受けた。

 ルビーナさんも、ヒールを履くと183センチにもなる長身を武器に、ミス・ユニバース世界大会フィリピン代表の座を射止めようと頑張っている。