ヘリコプター熱中少年から世界的製作者に、アルゼンチン
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■空で自転車に乗っているようなヘリコプター
すべてが始まったのは、自宅のガレージだった。シカレ氏の父親や叔父はそこで地元農家のトラクターを修理していた。白髪に黒い眉の小柄なシカレ氏は、AFPの記者に「4歳の頃からの輝かしい夢を実現させた」と満面の笑みで語った。小さな頃は学校が嫌いで、授業をさぼっては、ガレージで技術雑誌「ポピュラー・メカニクス(Popular Mechanics)」を読みふけっていたという。初めてモーターを作ったのが11歳の時で、ギアボックスとエンジンの製作に専念したくて12歳で学校を辞めた。
それから数十年後、シカレ氏は国際航空ショーで数々の賞を受賞し、欧州や中東、アジア、オーストラリアにまでヘリコプターを輸出するようになった。スペイン人のテスト・パイロット、アルトゥロ・エルナンデス(Arturo Hernandez)氏は「まるで自転車に乗っているよう」だとシカレ氏のヘリコプターを絶賛する。
シカレ氏の顧客は、渋滞を回避したい企業幹部や、効率的に農薬散布をしたい農家、救助活動にヘリを使う救急隊などさまざまだ。長男のアルフォンソさんによると財務のやりくりの限界から、年間に製造できるヘリは18~24機ほどで受注数を下回っている。ヘリ1機の値段は7万5000~18万ドル(約900万~2200万円)だ。
もうすぐ80代になるが、引退するつもりはないというシカレ氏。息子たちには事業を引き継ぐ用意があるが、シカレ氏は毎日、工場に来ては機器の微調整をしたり修理をしたりしながら、次に製作するヘリのことを夢見ている。(c)AFP/Daniel MEROLLA