■「物質主義への批判者」か、変わるディアオスの意味

 持ち家と結婚の有無やキャリアが人生の成功を決めるとされる中国で、ディアオスという単語はまずインターネット上に軽蔑を込めた言葉として登場した。

 一方ではディアオスの反意語として、中国の社会的階層のトップに君臨する、背が高くハンサムで裕福な男性を意味する「高富帥」や、同じく裕福で肌が白く、きれいな女性を指す「白富美」という言葉もネット上に出現している。

 だが、欧米社会の民族的または性的マイノリティーが、本来は侮蔑語だった言葉を自分たちのボキャブラリーにしてきたのと同様、ディアオスたちもこの単語を自分たちにふさわしい意味に再定義しようと試みている。

 ディアオスという単語は一部の人にとって、中国の経済発展がもたらした、彼らにとっては脇から眺めるしかない狂乱的な消費文化に対する拒絶を象徴化する言葉となっている。

 ド・スペン氏はAFPに対し「この考え方に近しさを感じる中国人が多く存在しているということは、自己卑下やカウンターカルチャーが広がり始めていることを表している」と指摘し、「(ディアオスたちは)中国では無能とみなされている役人や富裕層の子弟ではないことにプライドを見いだしている。物質主義の奈落の底へと沈みつつあるような様相を呈している社会にあって、自分たちは道徳的な品位を保っていると彼らは考えている」と話した。

 だが今、こうした反発に対するさらなる反発が起きている。

 映画監督、馮小剛(フォン・シャオガン、Feng Xiaogang)氏は、自らをディアオスと呼ぶ人々は「ばか」だとマイクロブログに投稿し、数万回もリツイートされた。

 中国共産党の機関紙、人民日報(People's Daily)も先月、「自己卑下は若者の精神に深刻な悪影響を与える恐れがあり、非難されるべきもので、やめなければならない」と警告している。(c)AFP/Sébastien BLANC