経済発展続く中国の負け組、「ディアオス」たち
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【2月23日 AFP】経済の活況が長年続く中国で、恋人もおらず貯金もなく、低賃金の仕事に甘んじる30歳のある男性の人生は、「負け組」を意味し、社会の傍流に留め置かれた「ディアオス(diaosi、●絲、●は尸のなかに吊)」と呼ばれる人々の典型例だ。
公式の統計は存在しないが、数千万もの中国人がディアオスに当てはまる可能性もある。
中国東部・江蘇(Jiangsu)省出身のこの男性は、ハルビン理工大学(Harbin University of Science and Technology)を卒業し、8年前に北京(Beijing)に移り住んできた。だがデザイン会社に勤める現在、月に3000元(約5万7000円)しか稼げていないという。
AFPの取材に対し男性は「北京市内西部にあるアパートの地下階で暮らし、月500元(約9500円)の家賃を支払っている。ここは物価が高すぎるから、全く貯金ができない」と話した。
北京大学(Peking University)と交流サイト(SNS)が昨年9月に行った共同調査によれば、ディアオスの72.3%が自分の人生に不満だと答えた。また男性・女性にかかわらず、典型的なディアオスの人々は独身で、1日3食の食費を39元(約740円)未満に抑え、安価な中国製スマートフォン(多機能携帯電話)を利用し、うち37.8%が精神的に落ち込んでいるという。
仕事を持っているディアオスも、うち68.6%が日々超過勤務をこなしており、多くの場合睡眠やアルコールに慰めを見いだし、余暇には安価なビールをがぶ飲みしたり、1箱1ドル(約120円)のたばこを立て続けに吸ったりしながらネットゲームに多くの時間を費やしている。
北京で活動する中国研究家のルノー・ド・スペン(Renaud de Spens)氏は、自ら編集した辞書「Cheeky China Dictionary(生意気な中国語辞典)」2015年版で、ディアオスについて特別な項を設けている。それによると、「ディアオス」は直訳すれば「男性の陰毛」といった意味だが、スラング(俗語)では「結婚ができそうにもない、不細工で貧乏な負け組」を意味すると書かれている。