中国の食糧問題、先進的農業の導入がカギ 研究
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■「環境への負担」に大きな差
実験の結果は、3つ目の「収穫量を最大化する」方法の成績がもっとも良かった。
この方法を用いた区画でのコメの平均収穫量は、1ヘクタール当たり7.2トンから8.8トンに増加。またコムギでは7.2トンから9.2トンに、トウモロコシでは10.5トンから14.4トンにとそれぞれ大幅に増えた。これは、米国やドイツの集中型農場での記録的な収穫量に迫るものだ。
だが研究チームによると、「統合型土壌・作物システム管理(ISSM)」と呼ばれるスマート農法の有効性は極めて顕著だったという。
ISSMの収穫量は、3つ目の方法で最大化された収穫量の97~99%に迫った一方、環境への負担はそれに比べてはるかに少なかった。
ISSMで栽培されたコメ、コムギ、トウモロコシの収穫量は、窒素肥料の投入量を増やさずにそれぞれ1ヘクタール当たり8.5、8.9、14.2トンに増加した。
他方、「改良型」の地元農法では、最大化された収穫量の88~92%となった。
ISSMを用いることで、窒素の過剰使用と温室効果ガスの排出が「大幅に削減される」ことが、コンピューターシミュレーションによって示唆されていると論文は指摘する。
「現状の作付け面積で、この管理農法の80%に相当する平均収穫量を2030年までに達成できれば、直接的な人間による消費のための需要と、動物飼料の大幅な需要増は、中国国内のコメ、コムギ、トウモロコシの全生産量で十二分に賄えるだろう」と論文は述べている。(c)AFP