【7月20日 AFP】陸上、ダイヤモンドリーグ2013(IAAF Diamond League 2013)第10戦モナコ大会(Herculis)は19日に行われ、男子100メートルで米国のジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin)が9秒94で優勝した。

 男子陸上競技界が数々のトラブルに巻き込まれている中、ガトリンが見事な勝利を決め、自身がウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)を脅かす存在であることを誇示した。

 来月には第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics)が開幕するが、男子短距離からは3人の有力選手が欠場することがここ1週間で決まっている。

 14日には世界歴代2位の速さを誇るタイソン・ゲイ(Tyson Gay、米国)と、元世界記録保持者で、世界歴代4位のアサファ・パウエル(Asafa Powell、ジャマイカ)が、ドーピング検査で陽性を示したことが明らかになった。

 その上、前大会(13th IAAF World Championships in Athletics Daegu)の男子100メートルタイトル覇者、ヨハン・ブレイク(Yohan Blake、ジャマイカ)がけがで欠場を余儀なくされたため、世界陸上男子100メートルの優勝候補にはガトリンとボルトしか残っていない状態となっている。

 ガトリンは2004年アテネ五輪で金メダリストを、その後2012年のロンドン五輪で銅メダルを獲得しているが、その間にドーピングで4年間の出場停止処分を下されている。陸上競技関係者は、そんなガトリンよりもボルトの優勝のほうを、世界陸上モスクワ大会で願っているに違いない。

 しかし、ダイヤモンドリーグ第5戦のゴールデンガラ(Golden Gala Roma)の男子100メートルですでにボルトを下しているガトリンは、気温の高いコンディションの中、クリーンな走り出しでスタートすると、そのまま30メートル地点まで突き進み、最後には勢い込めて加速してトップでフィニッシュラインを切った。

 しかし、このレースの前に男子4x100メートルリレーで米国チームのアンカーを務めたせいか、ガトリンは始終押され気味でこのレースを走った。

 同じく米国のデンタリウス・ロック(Dentarius Locke)がガトリンに0秒02遅れて2位に、フランスのジミー・ヴィコ(Jimmy Vicaut)が10秒を切るタイムをマークして3位に入った。

 また、2011年に禁止薬物の使用が発覚して9か月の出場停止処分に科されたマイク・ロジャーズ(Mike Rodgers、米国)が4位となっている。

 一方、ガトリンがアンカーを務めた米国の男子4x100メートルリレーチームは、今季世界最速の37秒58を記録して優勝を果たしており、ガトリンは「このチームがいれば、モスクワでは大暴れができそうだ」とコメントした。

 また、ドーピングで陽性反応を出したゲイとパウエルに対してガトリンは、「辛い時期だろうが、幸運を祈る」という言葉を贈っている。(c)AFP