米ハーバード大、トランプ政権に反発 政府は助成金3100億円凍結
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【4月15日 AFP】米国の名門ハーバード大学は14日、ドナルド・トランプ政権が大学内での反ユダヤ主義を取り締まるためと称している一連の要求に応じることを拒否した。この表明を受け、ホワイトハウスは同日、同大学への約22億ドル(約3100億円)の助成金を凍結した。
トランプ政権は今月3日、ハーバード大学に対し、ガバナンスや雇用、入学選考に関する方針の変更を求める要求を強化し、多様性部門を閉鎖し、留学生の選考に関して移民当局への協力を指示。
政府は、ハーバード大学および関連機関に提供している約90億ドル(約1兆3000億円)の助成金の見直しを行うとして、さまざまな要求を提示していた。
11日には、学生と教職員の見解の「監査」を求める詳細なリストを送付。大学側は、このリストを公表している。
ハーバード大学のアラン・ガーバー総長は学生と教職員に宛てた書簡で、政府の要求を拒否する考えを表明し、「本学の独立性および憲法上の権利について譲歩」はしないと主張。
「政府が提示した要求の一部は反ユダヤ主義撲滅を目的としているが、大部分はハーバード大学の『知的条件』に対する政府の直接的な規制にほかならない」とし、「政権を握っているのがどの党であれ、いかなる政府も、私立大学が何を教え、誰を入学させ雇用するか、どの分野の学問研究を追求するかを指示するべきではない」としている。
トランプ氏は、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの紛争に触発された激しい抗議行動が起きた名門大学を標的に、連邦資金を剥奪し、さらに移民局に対し、グリーンカード(永住権)所持者を含めデモに参加した外国人学生を国外退去させるよう指示している。
教育省は3月、60の大学機関に対し、「反ユダヤ主義的な嫌がらせと差別」とみられる行為に関する調査を開始したと発表した。
一方、昨年の親パレスチナ抗議デモの中心となったニューヨークのコロンビア大学は、対照的な動きを見せた。
トランプ政権は、抗議デモの際にユダヤ人学生を保護しなかったとして、同大学に対する助成金を4億ドル(約570億円)削減。これを受け同大学は、停学・退学処分などを改革し、セキュリティーを強化するために警備員を36人採用することに同意した。(c)AFP