「空飛ぶ車」が我々の元へやって来る
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【4月13日 Peopleʼs Daily】米国ラスベガスで今年1月初旬に開催された家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」で、中国企業の「小鵬匯天(Xpeng)」が開発した分離式飛行自動車「陸上空母」が国際的デビューを果たし注目を集めた。来年には実際の納車が開始される予定でもある。
未来の交通手段の無限の可能性を体現する「飛行自動車」は、徐々に夢から現実のものへと変わりつつある。おそらく10年後には、空飛ぶ車によって1~2時間の通勤時間が10~20分に短縮され、都市の交通渋滞は解消されるかもしれない。
今や、人びとは「飛行自動車」についていっそう具体的な定義を持っている。狭義では、地上でも走行でき空中を飛行することもできる「陸空両用自動車」を指す。また広義では、大量輸送用の電動垂直離着陸機(eVTOL)も含まれる。
昨年「中国汽車工程学」が中国初の空飛ぶクルマの研究報告『飛行汽車発展白書1.0』を発表し、21世紀におけるスマートEV(電動自動車)の開発が、スマート電動航空機開発の良好な産業基盤を築いたと結論づけた。「飛行自動車」の広義の定義としてのチルトローター式電動垂直離着陸機「eVTOL」は、スマート電気技術と航空機および自動車の産業チェーンの統合により、地上の自動車のような一般的な交通手段になることが期待されている。広義の「飛行自動車」の概念は、正式に業界のコンセンサスとなっている。
空飛ぶ車が我々の前に姿を現す未来が展望できる。『飛行汽車発展白書1.0』によると、その開発は3つの段階を経るとされている。
今年から商業化に向けての「1.0段階」に入り、貨物用eVTOLの商業利用と有人eVTOLの特定の場面での実証利用が始まる。
そして35年頃に、加速的な知能化の「2.0段階」を迎えると予想されている。知能的なeVTOL飛行自動車の大規模な応用が加速し、低空輸送の主要手段となる。
さらに50年頃には「3.0段階」の三次元普及段階に達し、空陸両用の飛行自動車が一般に広く普及し、低空交通と地上交通が深く融合した「三次元スマート交通システム」が構築されると予想されるとしている。
世界的にも多くの国が空飛ぶクルマの革新的な応用を加速しているが、その主な開発経路は3つある。
第1は、機械式の航空から電気式のスマート航空への移行だ。米国の「Joby Aviation」、欧州の「Airbus」、中国の「上海峰飛航空科技(Shanghai Autoflight)」「沃飛長空( AEROFUGIA )」「追夢空天(Dream Fly)」などの企業は、従来の航空機の設計経験と技術的優位性を基に、空飛ぶクルマの開発を進めている。
第2は、スマートEVから電動スマート航空への発展だ。空飛ぶクルマの産業チェーンの約85パーセントはスマートEVに関連しており、スマートEVの開発は「空飛ぶ車」の産業チェーンの基礎を築いたと言うことができる。例えば、「小鵬匯天」や「広州汽車( GAC )」は、スマートEVの産業チェーンにおける優位性を活かし、空飛ぶ車の開発を加速させている。
第3は「マルチローター・ドローン」から電動スマート飛行自動車への展開だ。マルチローター・ドローンの発展は「空飛ぶ車」の飛行制御技術の基礎を築いた。「億航智能(eHang)のような中国企業やイスラエルの「Airobotics(エアロボティクス)」社は、マルチローター・ドローンの開発における初期の優位性を活かし、空飛ぶ車の開発へと進んでいる。
米国の「Joby Aviation」は、25年までに都市型空中交通のための商業用eVTOLの商業化を実現する計画を持っている。また伝統的な航空分野における技術蓄積とグローバルな市場配置を持つ欧州の「エアバス」は「新世代都市エアバス」プロジェクトを立ち上げた。昨年には完全電動のプロトタイプを展示し、初飛行も行った。これは、伝統的な航空機が電動スマート航空機へと移行するための重要な一歩となった。
中国は、世界をリードする電動スマートEVとマルチローター・ドローン技術およびそれらの産業チェーンの優位性を有しており、「空飛ぶ車」の研究開発と生産に対して確固たる基盤を提供している。例えば「長安汽車(Changan Automobile)と「億航智能」は業界を超えて提携し、自動車とマルチローター・ドローン技術の有機的な統合を実現し、「空飛ぶ車」の開発に、全く新しいアイデアと活力をもたらした。
低空交通は、新エネルギー、人工知能(AI)、ビッグデータ、5G通信などの新技術の応用における主な担い手(キャリア―)であり、シナリオでもある。これは、低空経済の発展に向けた戦略的な方向性であり、世界経済と発展の様相を再形成することになるだろう。
現在、低空経済活動の主な担い手は、ドローンや飛行自動車などの「低空飛行器械」である。その中でも、民生用ドローン、産業用ドローン、交通用の「飛行自動車」は、自転車、オートバイ、自動車が地上経済を牽引しているのと同様に、低空経済に貢献する存在だ。
現在、ドローンは低空経済の主導的な地位にあり、消費者向けの娯楽用ツールから、電力設備点検、農林業、植物保護などの産業用生産ツールへと変貌を遂げている。 将来的には「空飛ぶ車」の普及と応用が人類社会に立体化三次元交通の新時代をもたらし、低空経済に莫大な経済価値を生み出す新たな「ブルーオーシャン」の道筋を開くであろう。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews