【4月4日 CNS】現在、中国経済の最優先課題として「消費の喚起」が全力で進められている。

 中央経済工作会議や政府活動報告では、「消費を力強く促進し、投資効率を高め、内需を拡大すること」が今年の最重要任務とされ、消費喚起に向けた特別行動の実施が明確に打ち出された。

 3月17日には、中共中央弁公庁と国務院弁公庁が「消費喚起特別行動方案(以下、方案)」を発表。30項目の具体策が盛り込まれ、国民の消費意欲を刺激する狙いだ。

 まず、最新の統計によれば、1~2月の社会消費品小売総額は前年比で4%増となり、昨年通年の伸びより0.5ポイント上昇した。この小さな上昇幅は、政策効果が現れ始めたことを示している。

 粤開証券のチーフエコノミスト、羅志恒(Luo Zhiheng)氏は、「春節(旧正月、Lunar New Year)を機に経済の楽観的なムードと資産の再評価が進み、社会の期待と市場の信頼が高まっている」と分析。特に消費財の買い替え支援策が前倒しで実施されたことが、需要の回復につながっているという。

 国家発展改革委員会のデータでは、新エネルギー乗用車の1~2月の小売台数が約134万台、家電の高効率製品の販売額が241億元(約5000億円)に達し、それぞれ前年同期比で26%、36%の成長を記録した。6000元(約12万4486円)以下のスマホも約3300万台売れ、販売額は約860億元(約1兆7843億円)と堅調だった。

「方案」では、7つの重点行動を通じて消費環境の整備と購買意欲の向上が図られている。具体的には、所得向上による消費力強化、医療や教育、年金、雇用の保障強化、サービスの質向上、大型消費の買い替え支援、文化・観光消費の促進、安心して消費できる環境づくり、規制の見直しなどが含まれる。

 たとえば、観光地や文化施設ではサービス項目の拡充、営業時間の延長、イベントの許可手続きの簡略化が進められ、全国巡演の許可も一括化される。また、消費者の不安を解消するため、食品の違法添加や偽造品、価格詐欺、誇大広告などへの取り締まりも強化される。

 さらに、「時間がなくて消費できない」問題に対しては、有給休暇の取得推進、違法な長時間労働の禁止、柔軟な休暇制度の導入、小中学校での春秋休みの設置推奨なども盛り込まれている。

 羅氏は、「外部需要の不確実性が高まる中、今回の行動は内需の下支えと安定に大きな役割を果たす」と指摘する。

 すでに号砲は鳴っているが、真の試練は一時的な政策効果を、いかに内発的な成長に転換できるかだ。残業を減らして買い物に出かける人、博物館のナイトイベントに参加する観光客、旅行列車で詩情を味わう高齢者たち――こうした風景が広がっていく時、中国の消費ストーリーは本格的に動き出す。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News