【3月24日 AFP】フランス中部オルレアンで週末、白昼にラビ(ユダヤ教指導者)が若い男に襲撃される事件が発生し、国内のユダヤ人コミュニティに衝撃を与えている。

ラビのアリエ・エンゲルベルグ師は、ニュース専門局BFMに対し、22日午後、9歳の息子と共にシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)を出て歩いていた際に、男からユダヤ人かどうか尋ねられたと話した。「そうだ」と答えると、男はユダヤ人を侮辱する言葉を浴びせながら、携帯電話で撮影しようとした。ラビが意を決して携帯電話を押しのけると、男が殴りかかってきたため、周囲にいた数人が助けに入ったという。

現地検察官によると、男は身分証明書を所持していなかったため、警察が身元を確認している。

別の情報筋によると、この容疑者は少なくとも三つの身元を使い分けていたことが判明しており、そのうち一つはモロッコ人、残りの二つはパレスチナ人としてのものだったとされる。

フランスには、イスラエルと米国に次ぐユダヤ人コミュニティがあり、欧州連合(EU)内で最大のイスラム教徒コミュニティも存在している。

欧州基本権庁(FRA)によると、2023年10月7日にガザ戦争が始まって以来、複数のEU諸国で「イスラム教徒への憎悪」や「反ユダヤ主義」の急増が報告されている。(c)AFP