支持者に向かってポーズを取るユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領(c)news1
支持者に向かってポーズを取るユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領(c)news1

【03月21日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領よりもハン・ドクス(韓徳洙)首相が先に憲法裁判所の判断(3月24日判決)を受けることになり、与党内で期待感が高まっている。政治的理由による弾劾であるだけに、ハン首相の復帰が有力視されており、これはユン大統領の弾劾審判の結果を占うシグナルになるとの見方だ。

◇ユン大統領の釈放など微妙な流れ…棄却・却下への期待感

大統領府は憲法裁の決定を前に慎重な態度を維持している。大統領府高官は20日、news1の取材に対し「我々はすべての状況を静観する立場だ」と述べるにとどめた。

当初、与党はユン大統領の弾劾が認められる可能性が高いと見ていたが、最近のユン大統領の釈放など微妙な流れが生じ、最終的に棄却・却下の決定が下されることへの期待感を隠せない様子だ。

憲法裁は当初、ユン大統領の案件を優先的に審理するとしていたが、実際にはチェ・ジェヘ監査院長・ハン首相の案件を先に扱った。監査院長の弾劾が8対0の全員一致で棄却されたことも、与党の期待感を強めている。

かつてのノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領の事例のように、ユン大統領の行為が違法であったとしても「国憲紊乱(憲法秩序の深刻な破壊)」には至らないと判断され、棄却される可能性があるとの分析もある。

また、国会側がユン大統領の弾劾訴追事由から内乱罪を除外した点、検察の被疑者尋問調書(被調書)を証拠として活用した点など、手続き上の問題を理由に審判自体が成立しないとして却下されるとの主張も出ている。

与党関係者は次のように見通している。

「親野党(民主党)性向のムン・ヒョンベ憲法裁判所長代行が弾劾認定のために説得を試みたが、結局、成果を出せなかったようだ。それでも憲法裁がこれ以上決定を先延ばしできない状況にあるため、近いうちに結論が出る可能性が高い」

◇「ハン・ドクスを救い、ユン弾劾を認めるための事前準備」という分析も

政界では、24日にハン首相の弾劾審判の結論が出た後、26日に最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表の公職選挙法違反事件の控訴審判決を経て、早ければ28日、遅くとも4月初めにはユン大統領の判決が下されるとの観測が出ている。

与党では「全会一致ならすでに判決が出ていたはずだが、結論が遅れているのは弾劾認定に必要な6人の賛成票を確保できていないためではないか」との分析が出ている。

イ・ジェミョン氏の司法リスクを考慮した場合、ユン大統領に対する迅速な判決の重要性を誰よりも理解しているムン・ヒョンベ裁判所長代行が、結論を出せていないこともその証左だという指摘がある。

憲法裁判官の性向(進歩3・中道3・保守2)に基づき「5対3」「4対4」など、さまざまな推測が飛び交っている。弾劾に賛成する与党関係者も、1~2票は棄却または却下の意見があると予想している。

一方で、一部には「ハン首相の弾劾審判を先に判決するのは、いわゆる『代行体制』を終わらせて国政の空白を解消するためではないか」という見方とともに、「ユン大統領の弾劾認定のための事前準備ではないか」という解釈もある。ハン首相の弾劾を棄却することで保守系裁判官の反発を和らげ、その後、ユン大統領の弾劾を全会一致で認めようとしているとの見方だ。

与党は民主党の動きにも注目している。民主党は憲法裁に対し、デモ行進・街頭集会・ハンストなど総力を挙げた圧力をかけている。パク・チャンデ院内代表は、大統領権限代行のチェ・サンモク(崔相穆)経済副首相兼企画財政相の弾劾推進に言及し、マ・ウンヒョク憲法裁判官候補者の任命を改めて強く求めた。マ・ウンヒョク候補者は進歩性向の人物とされる。

与党は、「100%罷免」と言っていた民主党がこのような強硬策を取る背景について、憲法裁から有利なシグナルを受け取れず焦っている結果だとの解釈を示している。ムン・ヒョンベ裁判所長代行が「ユン大統領の弾劾審判について迅速に判決を下す」と発言していたにもかかわらず、弁論終結後20日以上も判決が下されていないことは、弾劾認定が容易でないことの証拠だと主張している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News