【2月21日 AFP】スペインの高等裁判所は20日、同国サッカー連盟(RFEF)のルイス・ルビアレス前会長(47)に対し、女子代表のMFヘニフェル・エルモソ(34)へキスを強要した性的暴行の罪で罰金刑の有罪判決を下した一方で、同選手へ圧力をかけた脅迫については無罪を言い渡した。

検察はルビアレス氏に対し、性的暴行の罪で1年、事件を大ごとにしないようエルモソに圧力をかけた脅迫の罪で1年6か月、合計禁錮2年半を求刑していた。

ルビアレス氏はキスによる性的暴行については有罪と判断され、1万800ユーロ(約170万円)の罰金を科されたが、収監は免れた。また、エルモソに200メートル以内に接近すること、および1年間連絡を取ることを禁止された。

ルビアレス氏の弁護人は、同氏が「判決に控訴することを決めた」とAFPの取材で述べた。

スペインサッカー界を揺るがしたこのスキャンダルでは、2023年の女子W杯オーストラリア大会でスペインが優勝した後、メダル授与式で当時連盟のトップを務めていたルビアレス氏がエルモソの頭を抱えて唇にキスをし、その後背中を2回たたいてから同選手を解放する様子が映像で確認されている。

このキス強要は世界中で激しい怒りを引き起こし、ルビアレス氏を不名誉な辞任に追い込むと同時に、スポーツ界における男性優位の文化と性差別の横行に焦点が当たった。

2月3日の公判初日、エルモソは同意のないキスで「軽視された」と感じたと述べ、「いかなる社会的または職場環境でも起こってはならない」と訴えた。

しかしルビアレス氏は、世界中に中継されていた表彰式でエルモソが優勝メダルを受け取る際、キスに同意したことは「絶対に間違いない」と述べ、同選手へ後日圧力をかけたことを否定。自身が「間違いを犯した」ことや「公的な人間としての役割を果たすべきだった」ことを認めながらも、犯罪は犯していないと主張していた。(c)AFP/Wafaa ESSALHI