【2月14日 AFP】米国で2024年初頭から鳥インフルエンザが流行し、卵の価格が高騰する中、卵を入手するために自宅で鶏を飼う動きが一部で広がっている。

農務省によると、昨年12月には1320万羽のめんどりが殺処分され、今年に入ってから、さらに2100万羽以上が処分された。

卵はもはや貴重品となり、一部のスーパーマーケットでは高級卵1ダースの値段が10ドル(約1540円)となっている。通常なら2〜3ドル(約300〜460円)で買える低品質の卵も倍以上の値段だという。

人気の食料品のチェーン店、トレーダー・ジョーズは、1世帯当たり1日1ダースまでに購入を制限。コストコも購入制限を行っている。

そうした中、テキサス州ヒューストンで畜産会社を経営するジョン・ベリー氏は、生きた鶏の需要が急増していると話す。

「以前の2倍、もしかすると3倍の売れ行きかもしれない。週に100羽以上は売れている」とベリー氏はAFPに語った。

■鶏を飼う方が「安上がり」

ベリー氏によると、購入者の大半は、卵を産む鶏の飼育に関しては初心者だという。

メキシコ出身のアルトゥーロ・ベセラさん(57)もその一人だ。最近400ドル(約6万2000円)でめんどり10羽を購入。20ドル(約3000円)で1か月分の飼料も購入した。

今週、新たに5羽を購入し、さらに10羽増やす予定だ。「うちは大家族なので」と話す。

飼育し始めたのはまだ若鶏で、卵を産むまでに数週間かかるという。

テキサス州の一部の自治体では、一定の健康基準を守れば、自宅で鶏を飼うことが許可されている。

米疾病対策センター(CDC)は、一般市民が鳥インフルエンザに感染するリスクは「低い」とする一方で、自宅の庭で鶏を飼う市民に向けた安全ガイドラインを発表している。

「鶏を飼う場所ならあるし、卵がとても高いので」とベセラさん。「めんどりを買ってきて、育てた方が安上がりだと思う」

建設会社を経営するビリー・アンダーヒルさん(62)も、新たに2羽を購入した。鶏は以前から飼育しているという。

「もともと鶏を2羽追加する予定だった。数か月ごとに2羽買っている。死んでしまう鶏もいるし、そのうちに卵を産まなくなる。だから、わが家では(自宅で鶏を飼い続けて)ずっと卵を産ませていきたい」と話した。

ベリー氏は、殺処分されためんどりの代わりにひなを育てているが、卵を産むようになるまでには時間がかかると説明する。

卵不足が解消されるまで「あと2〜3か月か、それ以上かかるかもしれない」と話した。また卵は保存が利くので、買いだめしておくようにアドバイスした。

映像は6、10日撮影。(c)AFP