美しい音色のピアノを生産、だったら美しい環境を守らねば=浙江省・洛舎鎮
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【2⽉18⽇ Peopleʼs Daily】中国・浙江省(Zhejiang)湖州市(Huzhou)徳清県(Deqing)洛舎鎮(Luoshe)はピアノ作りの街だ。そして近年の特徴は、環境の維持を極めて重視するようになったことだ。
ピアノには木材部品が多く使われる。ピアノメーカーである楽韻鋼琴廠の木材加工場は、かつては粉じん汚染が深刻だったが、2019年には集中除じん設備が設置された。
各作業場所には吸じん口が設けられ、木くずはパイプを通って室外に導かれ、高さ3メートル以上の金属製回収箱に入る。次に木くず処理工場に運ばれ、バイオマスペレット燃料になる。かつては、木くずまみれで働いていたが、今は除じん率が95%という。
ピアノ製作で汚染が最も深刻なのは塗装段階だ。大量の揮発性有機物が発生するからだ。かつては個人経営の小さな作業場が多く、手作業で塗装していた。作業場には簡単な吸引装置しかなかったので、臭いが鼻を突いたという。
現在の楽韻鋼琴廠では、水カーテン機と活性炭吸着装置を使っている。揮発性有機物を含む空気はまず、水カーテン機を通ってろ過される。活性炭吸着装置で二次処理を行い、基準を満たした後に排出される。同社の章加竜(Zhang Jialong)社長は、「この装置は何度も更新しました。合計で60万元(約1280万円)を投じました」と説明した。
洛舎鎮政府は2018年9月から、有機排ガス排出基準に達していないピアノ工場を段階的に閉鎖し、一方で、塗装共有センターを設けた。このセンターは、必要とする中小ピアノ企業に塗装サービスを提供している。
ピアノメーカーの徳清愛娃鋼琴の責任者である兪徳明(Yu Deming)氏は、「ここの塗装技術は弊社よりも高く、設備が先進的で汚染が少なく、環境にも優しいのです」と説明した。自社で塗装していた時よりも、人件費も塗装コストも下がったという。
塗装共有センター内のさまざまな場所での、揮発性有機物の濃度は空気1立方メートル当たり0.025ミリグラムから5ミリグラムだ。洛舎鎮の鄭波(Zheng Bo)環境保護専門員は「国の関連基準よりはるかに下です」と述べた。
塗装共有センターがあるのは、洛舎鎮ピアノ衆創園だ。この場所はかつて、鉱山だった。行政は産業構造の転換を図って鉱山を次々に閉鎖させた。そして680ムー(約0.45平方キロ)の廃鉱を埋め戻して整備した。衆創園の完成は2019年で、ピアノ製造の川上から川下まで企業50社が入居した。
衆創園では、入居企業の電力需要に対応するために、各工場の屋上に太陽光発電パネルを設置した。当初から、環境保護と省エネの理念を貫いたという。洛舎鎮空気監視ステーションの観測結果では洛舎鎮の2023年通年の空気優良日の割合は2019年より19.7ポイント上昇して85.2%に達した。
徳清県ピアノ製造業界協会の潘鴻凱(Pan Hongkai)会長は、「従来型の製造業がグリーン低炭素型に転換できたことは、経済効果と環境効果のウィンウィンを実現できることの証明です」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News