【12⽉17⽇ Peopleʼs Daily】中国ではテニス熱が大いに盛り上がっている。その背景の一つが、中国人選手が好成績を収めていることだ。例えばパリ五輪の女子シングルスでは鄭欽文(Zheng Qinwen)が金メダルを、混合ダブルスでは張之臻(Zhang Zhizhen)と王欣瑜(Wang Xinyu)のペアが銀メダルを獲得した。その結果、中国では国民の間でテニスの試合観戦や実際にプレーすることへの意欲が大いに高まった。

 中国ではかつて、テニスにさほど人気がなかった。卓球などに比べれば成績は見劣りし、会場建設では基準が厳しく、人々はテニスを学ぶには費用が高いと感じた。しかし、2004年のアテネ五輪の女子ダブルスで李婷(Li Ting)と孫甜甜(Sun Tiantian)のペアが優勝すると、中国でのテニスの発展は加速するようになった。

 10月13日夜に開催された武漢オープン(Wuhan Open 2024)の決勝戦では、「鄭欽文、頑張れ」という応援の声が絶えなかった。観戦席は満席だった。今回の武漢オープンのチケットの1日の販売量と累計販売量はいずれも過去最高を記録した。累計入場者は2019年比で80%超増の延べ18万人余りだった。

 国慶節連休中に開催された中国オープン(China Open 2024)ではチケット販売額が前年比60%増で8000万元(約17億円)を超え、過去最高を記録した。同じく国慶節連休中の上海マスターズ(2024 Shanghai Rolex Masters)も観客動員数が過去最多の延べ22万人で、チケット販売額も過去最高だった。

 多くの庶民が自らスポーツをするようになりスポーツ関連産業が爆発的に成長するのは、1人当たりのGDPが8000ドル(約120万円)を超えた頃とされている。中国では経済が成長し人々の生活水準が向上することで、テニスが急速に普及する土壌が「肥沃(ひよく)」になりつつある。

 国際テニス連盟(ITF)の2021年の発表によると、中国のテニス人口は世界第2位で、世界のテニス人口の22.9%を占める1992万人に達した。中国のテニスコート数も世界第2位で4万9767面に達した。国家体育総局テニス運動管理センターの白喜林(Bai Xilin)主任は、「中国の人口総数と経済と社会の発展の潜在力を考えれば、中国のテニスにはまだ大きな成長の余地がある」と述べた。

 中国テニス協会によると、今年になり中国で開催された国際テニス大会は98回で、会場は48都市に及び、大会参加のために52の国と地域の選手やコーチが訪中した。これらは国際的なテニス界が中国の試合開催能力とテニス環境を高く評価していることを示している。

 テニスの試合は開放的で友好的な交流の懸け橋を築くことにも役立っている。中国人選手が、大会出場のために中国に来た外国人選手と、大会終了後に一緒に京杭大運河を旅行して、中国文化を共に体験した例もある。

 白主任は「中国テニスは中華のスポーツ精神と中華文明を徐々に世界テニスに溶け込ませており、中国が持つ独特な価値をもって世界のテニスの発展に貢献するに違いない」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News