武力の乱用は危機を悪化させるだけだ=紅海含む中東情勢
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【2⽉23⽇ Peopleʼs Daily】米英両国がイエメン領内のフーシ派(Huthis)への軍事攻撃を続けている。国際社会は紅海(Red Sea)と周辺地域全体の安全リスクの高まりを懸念している。
紅海水域は重要な輸送ルートであり、通航船舶の安全確保は国際社会の共通利益に合致する。米英によるイエメンへの軍事行動は、インフラの破壊や民間人の死傷をもたらし、商船航行の安全に役立たないだけでなく、地域全体の安全保障上のリスクを押し上げる。
国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は、紅海周辺の緊張を高めることを避け、イエメン紛争終結に向けてのこれまでの取り組みが水泡に帰さないよう、あらゆる努力を尽くすよう求めた。サウジアラビアやエジプトも、紅海地域の安全と安定、紅海の航行の自由の保証を求め、各方面に自制を呼び掛けた。イランは、恣意(しい)的な攻撃は中東地域をより不安定にするだけだとの認識を示した。イラクは、紛争の範囲拡大は根本的な問題の解決には役立たず、リスクの波及拡大を招くだけだと表明した。
紅海での緊張の高まりは、武力の乱用が新たな危機を作り出すだけであることを物語っている。口先では衝突の拡大を防ぐと言いつつ武力を乱用するのは、明白な矛盾だ。国連安全保障理事会(UN Security Council)はいかなる国にもイエメンに対する武力行使を許可したことがない。武力の乱用が中東にもたらしたのは、混乱と人道災害だけだ。米「フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)」誌は、米国政府が現在の中東政策を死守していることが悪循環をもたらしているとの考えを示した。
紅海情勢は、公平と正義を無視したのでは根本的な対策を打ち出せないことを物語っている。中東地域の矛盾は複雑に絡み合っている。域外諸国は地域の実情に寄り添い、各方面の利益に配慮し、公平を重視し、正義を基礎とすべきだ。しかし、一部の国は自らの利益を考慮して、長期にわたり味方と敵を峻別する「分割統治」をしてきた。そのため、中東では安定した安全秩序を構築することが難しくなった。現在の紅海危機はガザ地区の紛争が波及したものだ。そのガザ紛争が解決されないのは、個別の国が「えこひいき」をして、国連安保理の停戦決議案を何度も妨害していることと関係がある。
中東についての急務は、ガザでの戦火を一刻も早く沈静化させることだ。ガザでの停戦は当面の最優先課題であり、人道的救援の確保は一刻を争う道義的責任だ。ガザの将来計画ではパレスチナ人の意思を十分に尊重せねばならない。「二国家解決」はパレスチナ問題の公正な解決を実現するために必ず通らねばならない道だ。
大国が自らの影響力を発揮する正しい方法とは、地政学的な私利を排し、中東の人々の幸せから出発して意見の相違と矛盾を政治により解決し、中東平和促進のために建設的な役割を発揮することだ。パレスチナ問題を一日も早く全面的、公正、永続的に解決してこそ、中東地域の永続的な平和と安定が実現する。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News