【11月21日 AFP】敵の塹壕(ざんごう)に向かって突撃する部隊を支援するため、ほふく前進するウクライナ兵。フランスの森の中にある軍事キャンプで、ロシア軍の侵攻に立ち向かうウクライナ軍の新兵に対する実戦訓練が行われている。

 この部隊は、4週間にわたる歩兵戦闘訓練を間もなく終えようとしていた。場所や人数、兵士の身元は伏せられている。平均年齢35~40歳の予備役や新規動員兵、志願兵で、大半が本物の戦場をまだ見たことがない。

 11月のある雨の朝、将校の指揮の下、歩兵隊は2日間の演習に出発した。仏軍から教授された知識を、実地演習で身に着ける。フランス人の教官と通訳が同行し、間違いがあれば正し、さらなる助言を行う。

 仏軍による訓練は、欧州連合(EU)によるウクライナ軍事支援ミッションの一環として、仏政府が拠出する17億ユーロ(約2700億円)の一部で賄われている。

 フランスはウクライナ軍に訓練と指導を提供する24か国の一つとして、年内に自国とポーランドで計7000人のウクライナ兵を訓練することになっている。

 同プログラムを指揮する仏軍のエバン中佐は、「ここでは武器の扱い方から、市街戦、野戦、塹壕戦といった異なる地理的条件での戦闘まで、兵士としての基本をすべて学ぶ」と語った。負傷兵の応急処置も演習の重要な課題だ。

「最前線に立つことへの恐怖と、自国の領土を守るという意志と願いが常に入り交じっている。その両面性を日々感じる」とエバン氏。「ウクライナ兵は学ぼうという意欲が非常に旺盛で、常に新しいやり方を教えてくれという。これほど熱心な新兵と働けるのはうれしい」

 両軍の間には温かい交流があるが、エバン氏は「われわれは一定の距離を保たなければならない。前線でウクライナの仲間たちを何が待ち受けているか、分かっているからだ」と語った。

 フランス人教官は、訓練を受けるウクライナ兵と電話番号の交換を禁じられている。「仏軍の士気を下げかねない、強過ぎる絆は避けなければならない」とエバン氏は言った。(c)AFP/Céline CASTELLA