杭州アジアパラ、開会式を陰で支えたBMI技術
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【10月26日 Xinhua News】中国浙江省(Zhejiang)杭州(Hangzhou)で22日に行われた第4回アジアパラ競技大会(杭州アジアパラ)の開会式では、最終聖火ランナーが脳波で操作するバイオニックハンド(筋電義手)で聖火に点火した。テクノロジーは身体的な欠損を補い、アスリートにまばゆい未来感をまとわせた。
未来感を影で支えたのが、ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)技術に基づく脳の働きだった。バイオニックハンドを開発した浙江強脳科技(ブレイン・コ)の創業者、韓璧丞(Han Bicheng)氏は「脳が望む動きをバイオニックハンドが実行する」と語った。
韓氏によると、手術などで身体に機器を埋め込む必要のない「非侵襲型BMI」技術と人工知能(AI)アルゴリズムを組み合わせたリハビリテーション支援機器は、人体の動きにより生じる筋電や脳の神経細胞(ニューロン)が発する電気信号を処理することで使用者の動きの意図を識別し、人の手のバイオニック神経筋制御経路をシミュレートする。動作の制御を実現することで、人々の日常生活に対する需要に応える。
韓氏はバイオニックハンドの開発において最も重要な技術上の問題について「データ収集」と答えた。
人間の脳は「3ポンドの宇宙」と呼ばれ、約1千億個のニューロンが含まれる。生体電気信号は非常に微弱であり、人体内部の状況を皮膚越しに把握する場合、情報の減衰や折り返し雑音(エリアシングノイズ)が生じることから捕捉や収集が難しいという。
韓氏は「北京首都国際空港にいる1匹の蚊の羽音を杭州で収集し、飛行状況を分析しようとするようなもの」だと例えるが、ならば「3ポンドの宇宙」の解明がどれほど進めばわれわれの世界はSF映画の世界に近づくことができるのか。韓氏は、SF映画中の効果も7~8割はBMIで実現できると指摘。遠くない将来に「心で念じればすべてに触れることができる」世界が来ると信じていると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News