8階から犬を投げ落とす! 中国で続く「都市上空の痛み」
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【5月18日 東方新報】中国の都市部では一軒家は少なく、多くの市民は高層住宅に住んでいるが、高層から地上へ物を投げるトラブルが昔から起きている。
浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)公安局は5月8日、犬のサモエド(シベリアン・スピッツ)がマンションの8階から投げ捨てられた事件があり、40歳の男・王(Wang)容疑者を拘束したと発表した。カップルでけんかした末に、犬を投げ落としたという。
インターネットでは現場とみられる写真が拡散。白くフサフサとした体毛の犬が横たわっている無残な姿に、「この子は何もしていないのに」「厳罰にしてほしい」という批判が相次いでいる。
湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)では、団地の上階からゴミやレンガが繰り返し投げられ、駐車場の車の窓ガラスやフレームが損壊する事件が相次いだ。警察は防犯カメラや住民の証言から8階に住む李(Li)容疑者を拘束した。団地内で車が無秩序に駐車されていることに腹を立てたことが動機という。
広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)では3月下旬、高層から飲料瓶が投げられ、3歳児がけがをする事件が発生。容疑者は特定され刑事措置が取られている。地元警察は「高層からの投棄物は『爆弾』と同じ。絶対許されない」とコメントしている。
高層住宅から物が捨てられる行為は古くから横行し、「都市上空の痛み」とも言われている。たばこの吸い殻やゴミ、おもちゃ、飲料瓶、ワインボトル…。単純にモラルの欠如が原因という場合や、社会への不満やストレスなどから行われることも目立つ。
2021年に中国で初めて施行された民法では、高層建物から物を投げ捨てる行為を禁止すると明記。2022年の刑法改正で、高い場所から物を投げる行為は1年以下の懲役とするなど犯罪行為と定められた。刑法改正後、江蘇省(Jiangsu)で包丁を投げ捨てた被告に懲役6月、罰金2000元(約3万9261円)の判決が全国で初めて下された。
広東省広州市(Guangzhou)の裁判所は、35階からペットボトルを投げて高齢者にけがをさせた児童の保護者に対し、治療費のほか約9万元(約177万円)を賠償するよう命じている。
法律の整備により高層からの投げ捨て行為は減少傾向にあるとされるが、これまであいまいになっていた事案が立件されるようになり、「都市上空の痛み」問題は今後も続きそうだ。(c)東方新報/AFPBB News