中国の小学生の間でなぜか「数珠回し」が流行
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【4月25日 東方新報】中国の小学生の間で数珠をクルクル回す遊びが突然はやりだし、中国メディアやインターネットで「なぜ、子どもが数珠で遊ぶのか?」と話題となっている。
数珠回しの遊び方はいたって簡単だ。まず、数珠を二重にして小さな輪を二つ作り、それを手のひらに乗せる。そして親指で数珠を転がすようにして、輪っかをクルクル回らせる。なめらかに数珠を回すことが楽しく、数珠同士が当たる「カチカチ」という音が心地よいという。
「年配の人が手首に数珠を巻くのはよく見かけるが…」「健康維持のため、クルミを数個握ってゴロゴロ転がしている大人はいるけど、それとも違うのか」。大人たちの反応は戸惑い気味だ。
最近は子ども向けの数珠が文房具店や雑貨店で5元(約97円)や10元(約194円)程度で販売されている。プラスチック製や木製、数珠の玉がカラフルなものなど種類は多く、インターネットでは1万個以上売れた数珠もある。
「勉強に関係ないものは持ち込み禁止」としている小学校が多いが、休み時間にクラスメートが集まって数珠回しをする光景が増えている。家に帰り、宿題をしている最中も食事中も数珠を回している子どももいるという。保護者の間では「四六時中、数珠を離さないのをやめさせたい」「何か子どもに悪影響が出ないか」と不安の声が出ている。
子どもの数珠回しについて、中国教育科学研究所の儲朝暉(Chu Chaohui)研究員は「輪ゴムで遊んだり、砂遊びしたりするのと本質に変わらない」と指摘。
上海市教育科学院学生発展研究センターの王楓(Wang Feng)主任は「繰り返し同じ行動をすることは、心理的に不安を解消する効果がある。1990年代に指でペンを回すことが子どもたちの間で流行し、数年前には指の上でコマのように回すハンドスピナーがはやったのと基本は同じです。同じ遊びをして子どもたちがコミュニケーションを深める効果もある」と説明する。
上海市の精神科医、王美娟(Wang Meijuan)さんは「小学生は学習面のプレッシャーを抱えている。やみくもに数珠回しを禁止するのはよくない」と話す。保護者の間では「数珠遊びをするようになり、爪をかむ、髪の毛をいじるといった癖がなくなった」という報告もある。
中国では受験競争が過酷で、「一流大学に入り、一流企業に入ることが人生の成功者」という意識が今も根強い。幼稚園から英語を教えるのも珍しくなく、「受験戦争は3歳から始まる」という言葉もある。数珠回しは、年端もいかない子どもたちがわずかの間、受験戦争のプレッシャーから解放される「戦士の休息」なのかもしれない。(c)東方新報/AFPBB News