【10月23日 Xinhua News】中国西蔵(シーザン)自治区ニンティ(林芝)市メトク(墨脱)県は、古くから交通が遮断され、物資が非常に不足していた。

 長い間、外界との主な交通、運搬手段は背夫(荷担ぎ)と馬幇(まばん、荷馬を利用したキャラバン)で、地元の青壮年男性のほとんどが背夫だった。塩から食糧、医薬品、教科書まで、県内で必要な重要物資は人と馬に頼るしかなかった。

 政府は1960年代から同県に通じる道路建設に何度も投資し、2013年10月31日、全長117キロの「墨脱公路」がついに開通した。同県に道路がなかった時代に終止符が打たれ、車や農業機械が同県に入れるようになった。車での通学や通院が可能となり、同県人民病院には救急車も配備され、物を担いで運んでいた時代は正式に過去の歴史となった。

 翌年には、大量の建築資材が同県に運び込まれ、安居房(政府が低廉な価格で低・中所得世帯に供給する住宅)の建築が正式に始まった。建築費の大半を政府が負担したことで、同県の人々はその後、新しい家に移り住むことができた。

 地元では茶葉の栽培や竹編みなどの産業が発展し、住民の生活水準が大幅に向上した。19年末には、同県を含む自治区全体が貧困から脱却し、絶対的貧困が歴史的に解消された。同県の農牧民1人当たりの可処分所得は、12年の4875元(1元=約21円)から、21年には1万5278元に増加した。

 同県に通じる2本目の主要道路「派墨公路」(ニンティ市のメンリン県派鎮とメトク県を結ぶ自動車道)が21年5月、全線開通した。現在は、県内8郷鎮46行政村全てで、道路が開通している。

 同自治区交通運輸庁の6月のデータによると、自治区内の自動車道の総延長は12年末の6万5200キロから12万700キロに、農村道路は5万3200キロから9万400キロに増加した。自治区内全ての県・区と条件が整った郷鎮501カ所、建制村(行政区画としての村)2295カ所で路線バスが運行されている。(c)Xinhua News/AFPBB News