バイオリンの音色が響く中国の「ラ・ラ・ランド」
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【9月22日 People’s Daily】中国江蘇省(Jiangsu)泰興市(Taixing)黄橋鎮(Huangqiao)は、バイオリンの町として知られている。60年前、この地の農民が渦巻き(スクロール)彫刻を試してみようとしたとき、ここで作られるバイオリンが、将来世界で売れるようになるとは誰も想像しなかっただろう。
1962年、上海バイオリン工場の労働者2人が故郷の黄橋に帰ってきた。村人たちの中で、この2人に付いて、バイオリン製作の最も基本的な作業である「渦巻き彫刻」を学ぶ人が出てきた。1971年、渓橋公社楽器工場が設立され、上海に渦巻き、弓などの付属品を供給し、1985年には、正式に上海バイオリン工場泰興支工場となり、10年の契約を締結した。
1992年、工場長の李書(Li Shu)さんは、国際楽器展示販売会に参加するためドイツのフランクフルトに行き、黄橋と海外メーカーとの差を目の当たりにした。李工場長は、ドイツ、日本、韓国のバイオリンを買って持ち帰り、工場の全ての従業員に見せて、各作業場で学ばせた。再び販売会に参加したときには、すでにそれぞれの特徴を把握していた。李工場長は持参したバイオリンを持ち出し、一軒一軒回って売り込んだ。彼は15米ドルという衝撃的な価格を提示した。この登場によって、黄橋バイオリンは、世界の楽器市場に衝撃を与えた。
1995年、この黄橋にある小さなバイオリン工場は独立した。この年、彼らは独自に6万丁以上のバイオリンを製造し、上海や広州(Guangzhou)の「トップ企業」を一気に追い抜き、全国第1位となった。この年、高品質低価格の黄橋バイオリンと、勤勉な黄橋労働者は、再び新たなチャンスを得ることになった。この年の春節(旧正月、Lunar New Year)期間中に、アメリカのAXL楽器会社の資本参加を得て、双方は鳳霊楽器会社を設立した。この中国企業と外資企業による協力によって、販売チャンネルを拡大させた。AXLを通じ、鳳霊の生産量の半分を欧米に販売すると同時に、国際流行の業界スタンダードを鳳霊にもたらすことができた。
黄橋バイオリンは、優れた品質と優遇の価格を武器に、目標に向かって世界を席巻している。生産規模のピーク時には、鳳霊は1100人以上の従業員を抱え、年間30万丁以上のバイオリンを生産した。黄橋鎮のバイオリン工場長の60人以上が鳳霊出身で、町全体で、国内生産の70%、世界生産の半分以上に相当する年間80万本以上のバイオリンが生産されていた。万里を遠しとせず、黄橋でバイオリン工場を設立した英国企業もある。中国におけるバイオリン学習の潮流が高まるにつれ、ますます多くの黄橋のバイオリン工場がハイエンド・ミドルレンジ製品市場に進出し、黄橋の新しい世代は、過去の継承と革新の開拓に専念している。
良い楽器ができれば、良い作曲、良い演奏ができて、それから不朽の「ラ・ラ・ランド」にたどり着くことができる。黄橋の小学校では、ほとんどの子供が一つの楽器を習わなければならない。現在では、町全体の小中学生の85%以上が楽器の教育を受けたことがある。
毎年6月21日の中国の「国際楽器演奏デー」のメイン会場は黄橋だ。7年前からこの日は黄橋のお祭りになっている。鳳霊集団(Finelegend)の新任責任者の李暁晨(Li Xiaochen)さんは、「この世代の人にはこの世代の義務がある。音楽は、これからの時代の要請だ。これからの中国では、楽器が家具と同じように必要不可欠なものとなり、より多くの人が音楽を楽しめるようになることを願っている」と述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News