国際通貨環境が混乱、日中は「協力し合う」ことが上策
このニュースをシェア

【2月17日 東方新報】国際銀行間通信協会(SWIFT)の最新データによると、2021年12月、人民元の国際決済比率は2.7%に上昇し、同期の国際決済市場での日本円の割合は2.58%だという。これで2015年8月以来、人民元世界決済額シェアの順位は第4位に躍進したことになる。
人民元の国際決済順位の上昇は、中国の世界各国との経済協力の強化にとってさらなるチャンスとなりうる。しかし、世界の経済貿易環境は日増しに複雑化し、人民元の国際化の道も多くの課題に直面している。米連邦準備制度理事会(FRB)はコロナ禍のプレッシャーの下で従来の政策の枠組みを超え、インフレの高止まりを顧みず、際限なく金融緩和を行っているため、国際通貨環境に混乱をもたらし、一時急速な人民元高を引き起こし、中国経済はさらなる圧力に直面した。
日本を含むアジア諸国の多くは、中国同様、国際通貨環境の混乱の悪影響を受けている。中国の経済規模のたゆまぬ拡大や新興市場国の急速な台頭に伴い、アジアのグローバル経済システムにおける役割はますます重要になっている。しかし、国際通貨システムの中で、アジアの役割は依然として弱く、米ドルは長期的に主導的な地位にあり、ユーロの地位もヨーロッパ連合(EU)単一市場によって支えられている。また、アジア地域の自由貿易システムの構築と各国間の金融協力はいずれも出遅れており、欧米と肩を並べるのは難しい。このような状況は、アジアを金融競争において受動的な立場に置くのみならず、外部の通貨環境の変化による衝撃にも脆弱なものとしている。世界経済の先行きは不透明で、先ごろ国際通貨基金(IMF)は世界経済成長率の見通しを下方修正した。経済成長を安定させるには、アジア各国が貿易とサプライチェーンの安定化に加え、金融と通貨での協力を強化し、外部からの衝撃に備える必要がある。
アジアの地域金融協力を促進するために、日本は20年前にアジア共通通貨を提唱し、「日本円エリア」構想を打ち出したが、当時は未だバブル経済のショックから立ち直っておらず、アジアの地域経済協力も始まっていなかったため、いずれも実現しなかった。現在、アジアの経済力は昔の比ではなく、国際分業体制においても周辺部から中心部に移っており、域内包括的経済連携(RCEP)協定の発効によりアジア地域の経済協力は急速に高まりを見せている。これらはいずれも各国が通貨分野で協力を加速させるための条件を生み出している。
日本円の世界の貿易決済の割合は2.58%で人民元に同程度にあり、アジア通貨協力において中国と手を携えて主導的な役割を発揮すべきだ。日中は共に貿易大国であり、両国の経済貿易関係も緊密だ。アジアの地域通貨協力を共同で推進するには、両国間の貿易決済における自国通貨の割合の拡大から始めることができる。日中両国は通貨スワップを拡大させ、地域間の各国の通貨スワップを推進することにより、各国の金融安定性を向上させ、外部からの金融ショックへの防御能力を強化し、商業取引をより便利にすることができる。このほか、各国は中央銀行の政策協調、デジタル通貨、キャッシュレス決済システムの構築などの分野で協力を強化し、通貨協力をさらに深化させるために政策準備と技術準備を整えることができる。(c)東方新報/AFPBB News