【2月12日 AFP】北京冬季五輪のフィギュアスケートに出場しているカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア五輪委員会<ROC>)をめぐるドーピング問題は、薬物との闘いにおいて「壊滅的な失敗」だと、米国反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)が11日に述べた。

 今大会の団体戦でROCの優勝に貢献したワリエワは、昨年12月25日にサンクトペテルブルク(St. Petersburg)で行われた大会後の検査で禁止薬物のトリメタジジン(Trimetazidine)に陽性反応を示した。

 しかし、北京冬季五輪でドーピング検査を管轄する国際検査機関(ITA)は11日、スウェーデン・ストックホルムにある検査所からワリエワの陽性について報告があったのは、団体戦翌日の今月8日だったと発表した。

 AFPのインタビューに応じたタイガートCEOは、ワリエワの陽性が判明するまで約6週間かかったことに疑問を呈し、「12月の検査結果が五輪の団体戦後まで報告されなかったのは(中略)制度の壊滅的な失敗」と指摘。「起きてはいけないことだ」と主張した。

 タイガートCEOによれば、米国の競技団体や他の国では、まさにワリエワのような事態が起こらないようにするため、主要大会に出場予定の選手の検査は迅速に処理するのが一般的であるという。

 ワリエワは9日にロシア反ドーピング機関(RUSADA)から暫定資格停止処分を受けたが、異議が認められてその日のうちに処分が解除され、個人種目に出場する道が開かれた。

 タイガートCEOはまた、近年のロシアによる国家ぐるみのドーピング違反を考えれば、処分を解除したRUSADAの判断に驚きはないとも話した。(c)AFP/Rob Woollard