1羽の鳥がもたらす経済効果
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【11月11日 People’s Daily】1羽の鳥は、どのような経済効果をもたらすのか?近頃、中国科学院昆明動物研究所の楊暁君(Yang Xiaojun)研究員が記者に語ったところによると、雲南省(Yunnan)盈江県(Yingjiang)では、1羽のコウハシショウビンが50万元(約900万円)の収入につながる。2017年10月、盈江県那邦鎮(Nabang)の那邦湿地に、中国では雲南にしか生息しないコウハシショウビンが現れた。この固体は湿地に197日留まり、多くの鳥類愛好者がバードウォッチングや写真撮影に勤しんだ。目算によれば、驚くべきことに愛好者たちがもたらした経済効果は、少なくとも50万元にもなったのだ。近年、野外バードウォッチングは盈江県の代名詞となった。各地の鳥類愛好者がこぞって訪れ、それには様々な消費活動が伴う。美しい自然と生き物は、無形の産業を生んだのだ。
人と自然の共生は可能である。良好な生態環境は自然の財産であるのみならず、経済的な財産でもある。雲南省元陽県(Yuanyang)では、ハニ族(Hani)の人々が棚田を開墾し、森林の修復を進めている。ハニ族の棚田は「森林の貯水庫」の役割を果たす。棚田は水の通り道になり、山中の生態系サイクルが健全に回るのに一役買っている。同県では水・棚田の多様な運用による複数の収入源確保を模索し、棚田で鴨や魚を飼ったり、赤米で加工品を作ったりと多様な取り組みを行っている。平行して独自のEコマースプラットフォームを開設し、民俗・飲食・商品など文化・旅行が一体化した産業展開を行う。良好な生態系を基盤に特色を発掘し、他にはない産業を形成すれば、競争の中で強みを勝ち取ることができる。
とある蘭科植物保全の専門家は次のように語る。とある地域で最初、人工繁殖したセッコクを野外に植えたが、時間が経つにつれ、人々がセッコクを全て家に持ち帰ってしまうようだと気づいた。そこでセッコクの苗を人々に配り、家に植え、山の中にも植えてもらうようにすることで、セッコクを山に戻すことができた。また、以前は多くの人が松茸を採り、松茸の資源はどんどん少なくなっていった。現在では自治体で採取にルールを設け、資源を取り尽くすことができないようにした。人々が環境保護への主体性を発揮することで、環境美化と生活の向上を両立することができる。
エコな発展方式の形成が加速する中、政府の指導と企業の参加も重要な作用を及ぼす。雲南省広南県(Guangnan)では、固有種のガーリックフルーツが国家2級保護植物に指定されている。同自治体では砂漠化地域住民の生活支援のため、研究機関を誘致して果樹の人工繁殖・育成を行い、関連企業によって市場開拓が行われ、同地域は果樹栽培によって豊かになった。
自然への畏敬の念を深め、自然を保護・尊重・順応することがエコ型社会に転換する原動力となり、ひいては経済発展と環境保護の間にウィンウィンの関係を築くことができるのだ。(c)People’s Daily/AFPBB News