【10月28日 AFP】内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者で、英国で拘束中のジュリアン・アサンジ(Julian Assange)被告(50)の米国への身柄引き渡しをめぐる審理が27日、ロンドンの高等法院で始まった。米国側は、最も厳重な警備が敷かれる「スーパーマックス」刑務所に同被告を収監することはないと保証し、引き渡しを認めなかった下級裁の判断を無効にするよう訴えた。

 アサンジ被告はスパイ行為などの罪に問われており、米国での裁判で有罪と認められれば、最大で禁錮175年に処される可能性がある。だが英裁判所は1月、米刑務所に収監されれば被告の精神状態が悪化し、自殺の恐れがあるとして、引き渡し要請を退けていた。その理由の一つに、アサンジ被告が米コロラド州フローレンス(Florence)で連邦政府が運営するスーパーマックス刑務所の独房に収監されるとの懸念があった。

 米側はこの判断を不服とし、高等法院に上訴。2日間にわたる審理の初日、アサンジ被告が公判の前後に同刑務所に収監されることはないと説明した。一方で被告側は、米側の誓約は被告が同刑務所やそれに「準ずる」連邦刑務所、あるいは州運営のスーパーマックス刑務所に収監される可能性を完全に排除するものではないと主張した。

 アサンジ被告のパートナーで、2児をもうけているステラ・モリス(Stella Moris)氏は高等法院前で報道陣の取材に応じ、23日に面会した被告の「健康状態を非常に心配している」と語り、「(被告は)とても痩せている。裁判所がこの悪夢を終わらせてくれるよう願っている」と述べた。

 高等法院が何らかの判断を下した後も、法廷闘争はさらに長引くとみられている。米側の訴えが認められれば、審理は下級裁に差し戻され、新たな判断が下される。その後も上訴が可能で、最終判断は英最高裁に委ねられる。(c)AFP/Joe JACKSON