現生人類、5万年前以降にに中国南部に出現か 最新研究で解明
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【2月13日 Xinhua News】中国の南京大学の孫雪峰(Sun Xuefeng)副教授率いる国際共同研究チームはこのほど、解剖学的現代人(現生人類)が中国南部で出現した時期について、5万年以内の可能性があるとの研究成果を発表した。同大学が12日、明らかにした。
論文の共同筆頭著者である孫氏によると、研究チームは中国南部にある洞窟5カ所(湖北省鄖西県の黄竜洞、同省建始県の楊家坡洞、同省宜昌市の三遊洞、広西チワン族自治区田東県の陸那洞、湖南省道県の福岩洞)を調査。研究者は詳細な地形・層序学的調査を行い、洞窟内の未固結堆積物や石灰質堆積物、哺乳類の化石、人類の化石を総合的に年代測定するとともに、上海市の復旦大学と協力して人類化石の古代DNAを分析した。
その結果、5カ所の洞窟から採取した未固結堆積物と石灰質堆積物に比べ、哺乳類化石の堆積物の大半が比較的遅く形成されたことが判明した他、放射性炭素年代測定や古代DNA解析の結果、化石人類の年代も5万年前を超えないことが明らかになった。
孫氏は、中国南部のカルスト地形にある洞窟で見つかった古人類遺跡の大半が、水流による浸食や再堆積など複雑な過程を経て形成されたと説明。上部の石灰質堆積層が下部の化石層を覆っているのは、堆積過程で形成された「偽の覆い」の可能性があり、新しい地層の上に古い地層がかぶさる「地層の反転」が起きやすい傾向があったと指摘した。
孫氏はさらに「こうした状況下で、従来の年代測定法を用いても化石人類の年代を正確に特定できない。ここ数年の国際的な研究では、現生人類は7万年前から13万年前に中国に出現していたとされているが、今回の研究は学術的論争に重要な年代学的証拠を提供することとなる」と語った。
研究成果はこのほど、米学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News