【1月30日 CNS】中国の宇宙探査機「嫦娥5号(Chang'e-5)」の周回機と回収カプセルは2020年12月17日、地球から約5000キロ離れたところで分離し、回収カプセルは月の試料(サンプル)を搭載して無事、帰還した。中国国家宇宙局によると、サンプルリターンの大役を果たした嫦娥5号の周回機は次のミッションとして、地球と太陽の重力が釣り合って安定する「ラグランジュ点」に向かうと発表した。地球から約150万キロ離れたラグランジュ点から、地球を常時観測する。

 嫦娥5号の周回機が再び活動できるのはなぜか? 中国運載火箭技術研究院の専門家は「嫦娥5号を搭載して打ち上げられたロケット・長征5号(Changzheng-5)が非常に高い精度で軌道に入ることができたため、嫦娥5号の周回機は軌道補正のために燃料の推進剤をほとんど使わずに済んだ。計画の0.3%しか消費しておらず、200キロを超える推進剤が残っているので、周回機には『残業』をしてもらう」と説明する。

 では、長征5号の軌道精度がどうしてそれほど高かったのか? 宇宙探査機を目標の天体に到着させるため所定の軌道に投入するには、発射時間を厳密に設定する必要がある。地球と月の距離は絶えず異なり、打ち上げる時間帯によって長征5号の飛行軌道も大きく変わってくる。また、嫦娥5号が搭載する太陽電池パネルと太陽との位置関係、通信アンテナの指向性も計算に入れないといけない。最適な打ち上げ時間帯はごくわずかで、「100万の中から1を探す」と言われる。

 中国運載火箭技術研究院の専門家たちの計算では、毎年10~12月の間に打ち上げに適した期間は数日間のみで、しかもそれぞれ1日の間で50分間程度に絞られた。最終的に2020年11月24日と25日を打ち上げ日に決定した。発射当日、長征5号は正確に予定の軌道へ入った。(c)CNS/JCM/AFPBB News