【2月27日 AFP】ドイツ連邦憲法裁判所は26日、職業上の自殺ほう助を禁じる2015年施行の法律は末期患者らの「死に関する自己決定権」を奪うものだとして、違憲と判断した。

 この判断は、同法を行き過ぎと訴えた、原告である末期患者や医師、自殺ほう助の合法化を目指す団体にとって大きな勝利となった。

 「217条」として知られる同法は、有償・無償にかかわらず自殺ほう助を職業上のサービスとして申し出た人を罰するもので、有罪となった場合、罰金と最高で禁錮3年の判決を受ける可能性がある。同法は死を望む患者らを支援する団体の活動を禁じることが主な狙いだったが、安楽死用の薬剤を処方する医師も訴追の対象になることを意味した。

 一方、2017年には下級裁判所が、当局者は極端な事例において安楽死のための処方を拒むことはできないとする判断を下したため、法的な不確実性が強まり、医師らの間に混乱が生じていた。

 26日のカールスルーエ(Karlsruhe)の同裁判所の判断は、高齢化が進むドイツで大きな注目を集めた。同国ではカトリックとプロテスタント両教会が依然強い影響力を持つが、世論調査では医師による自殺ほう助への支持が高まっている。同国で自殺ほう助が特に微妙な問題である背景には、ナチス・ドイツ(Nazi)が障害者約20万人の殺害を、えん曲に「安楽死」と呼んでいたこともある。

 欧州連合(EU)加盟国で安楽死が合法なのは、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの3か国だけだが、自殺ほう助の形態が認められているまたは容認されている国もある。その他、自殺ほう助が合法なのはEU非加盟のスイスと米国のバーモント州、オレゴン州、ワシントン州。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK