【12月23日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の間で行われた電話会談から90分後に、米行政管理予算局(OMB)が国防総省にウクライナ政府への軍事支援を「留保」するよう求めていたことが内部メールで明らかになった。

 このメールは、非営利の調査報道機関「センター・フォー・パブリック・インテグリティー(Center for Public Integrity)」が公開したものに含まれていた。

 トランプ氏は、ウクライナに対して4億ドル(約440億円)の軍事支援の見返りに、政敵のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領を調査するようウクライナ政府に圧力をかけたとの疑惑が持たれている。

 OMBのマイケル・ダフィー(Michael Duffey)氏は、国防総省の担当者へのメールで、「私が受けた指導とウクライナへの支援を見直すとした政権の計画を踏まえ、こうした資金に関する国防総省の追加義務を留保するよう求める」と要請。

 ホワイトハウスが公開した会談の概要によると、疑惑の会話が行われたとされるトランプ氏とゼレンスキー氏の電話会談が終わったのは7月25日の午前9時33分。このメールは、それから1時間31分後の午前11時4分に送信されていた。

 ダフィー氏はさらに、「取り扱いに注意を要する要求内容であることを考慮して、この情報は知る必要がある人にのみ伝えるようお願いする」とも述べていた。

 共和党のロン・ジョンソン(Ron Johnson)上院議員は22日、米ABCの政治番組「ディス・ウイーク(This Week)」で、新たに公開されたメールは、ウクライナへの軍事支援に関するトランプ氏の論理的根拠について「何ら新しい説明となるものではない」と指摘した。

 一方で民主党上院トップのチャック・シューマー(Chuck Schumer)院内総務は22日、ツイッター(Twitter)への投稿でこのメールは「衝撃的」だと指摘し、ホワイトハウスの一部職員が議会で証言することを拒否しているトランプ氏を批判した。

 シューマー氏は、ウクライナへの支援停止に何も問題がないのなら、なぜOMBのダフィー氏は自分がしたことを一部の人しか知らないようにしたかったのか、と疑問を投げ掛け、このメールによって、上院での弾劾裁判でダフィー氏らに証言を求めたいとの思いを一層強くしたと述べた。

 トランプ氏は今月18日、下院での採決により、ウクライナ疑惑をめぐる職権乱用と議会妨害で弾劾訴追された。(c)AFP