ヘントの祭壇画「神秘の子羊」、一部修復作業終了 来月公開
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【12月24日 AFP】ベルギー・ヘント(Ghent)にある聖バーフ大聖堂(St Bavo’s Cathedral)の祭壇画「神秘の子羊(Adoration of the Mystic Lamb)」の一部修復作業が、このほど終わった。修復作業は3年に及んだ。
神秘の子羊は、ヤン・ファン・エイク(Jan Van Eyck)と兄のフーベルト・ファン・エイク(Hubert van Eyck)が1432年に完成させたと考えられている作品。フランドル絵画の傑作で、聖書の登場人物や神の子羊の信徒などが描かれている。祭壇画はちょうつがいで開閉できるようになっている12枚のパネルで構成され、全体の大きさは縦約3.4メートル、横約4.4メートルに上る。
第2次世界大戦(World War II)中、保管のためフランスに移されたが、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の手に落ち、ドイツの岩塩坑に置かれた。盗難被害にも遭ったことがある。絵の表面は長年のほこりやすす、水分、塩などで大きく破損していた。
これまでに修復作業が終了しているのは中央部分を含む下段パネル。パネルの外側は2012~16年に修復作業が行われた。
修復作業にあたった専門家らは、顕微鏡をのぞきながら外科用メスで丁寧に汚れを落としていった。ただ、16世紀のレタッチ部分だけは、もともとの作品への影響を考慮してソルベントを使わず、手で取り除いたという。
今回の修復作業で、これまで二組あるように見えていた羊の耳も本来の数である一組となった。レタッチで隠されていたもともとの羊の耳が、1950年代に行われた部分的な修復作業の際に露出し、そのままとなっていたのだ。
修復作業のため、祭壇画は大聖堂からヘントのMSK美術館(MSK museum)へと移されていた。美術館ではガラス越しに修復作業を見学できた。来年1月末には聖バーフ大聖堂に戻され、巨大なガラスのケース内での展示が行われる予定となっている。
王であるキリスト(Jesus Christ)や聖母マリアが描かれた上部パネルの修復作業は2021年に行われる。(c)AFP