■「まるで地獄」

 バナさんは自分の街の惨状や日常生活の苦労について、悲痛なツイートを母親とともに発信してきた。フォロワーの数は33万人に達し、バナさんはシリアの悲劇を象徴する存在となった。

 これを受けてアサド政権は、バナさんと母親のメッセージをプロパガンダであるとして非難し、またアカウントが偽物と主張する政権寄りの批判も聞かれた。

 しかし、バナさんのアカウント「@AlabedBana」を管理する母親のファティマさんは、そうした主張は単なる嫉妬によるものだと言う。「皆、嫉妬に駆られてそう言うのだと思う。彼らは私たちが実在することを知っていて、私たちを動転させようとしている」、「だからこそ、彼らはこれを見るべきだと思う。そうすれば、『彼』は私たちがプロパガンダではないことが分かるでしょう」、ファティマさんは英語でこう話した。

 そしてファティマさんは「アレッポでの生活は地獄のようだった」と述べた。「子どもたちを学校へ行かせることも、ぐっすり眠ることもできない。いつもどこかが爆撃されている。私たちが送っていた生活は、あなたたちには想像できない」

 ファティマさんがさらに「十分な食料も、きれいな水もない。病院へも行けない。病院は標的にされていたから」と言うと、バナさんも英語で「つらかった。怖かった。いつも爆弾が落ちていた。夜も」と述べた。

 ファティマさんによると、ツイッターのアカウントを作成したのは、バナさんが「ママ、なぜ、アレッポのことについて聞こえてこないの?なぜ誰も助けてくれないの?」と尋ねたことがきっかけだったという。「だから、世界中がこの子たちの声に耳を傾け、この悲惨な状況に注目する助けになろうと思って、アカウントを作ることにしたんです」

 バナさんのファンの一人、人気児童小説「ハリー・ポッター(Harry Potter)」シリーズの著者J・K・ローリング(J.K. Rowling)さんからは著作の電子版が、バナさん一家に贈られたという。(c)AFP/Volkan NAKIBOGLU